皇居の堀の西岸をめぐる


1.国立国会図書館-他の図書館にあって国会図書館にない本もある
2.ARGO-本と展望と料理を楽しむ
3.ギャラリー冊-本のギャラリー
4.イタリア文化会館図書室/昭和館の図書室/千代田区立図書館

■ 国立国会図書館-他の図書館にあって国会図書館にない本もある
千代田区永田町1-10-1 tel.03-3581-2331

http://www.ndl.go.jp/

『湖畔の声』のバックナンバーを見に行った。建築家ヴォーリズの事務所が発行している機関紙のようなもの。
1933年、ブルーノ・タウトは敦賀港に来日し、その夜、京都の下村邸に入った。
そこにヴォーリズがいたことと、ヴォーリズが設計した下村邸についての感想をタウトは日記に記している。
ヴォーリズの側からタウトについて何か言及しているか、知りたいと思っていた。
去年、近江市立図書館に伺ったとき、『湖畔の声』の存在を知ったが、あいにくタウトが来日したころの『湖畔の声』は所蔵していなかった。
それで半年も経ってから国立国会図書館に行ったのだが、ここでも1950年以前のはなかった。近江から帰ったときにインターネットで確認したつもりだったが、『湖畔の声』があることだけ見て、「ここなら全部あるはず」と思いこんでいて、発行時期を確認しなかったようだ。
神奈川大学にあるというので、また出直さなくては。
貴重書ならともかく、一般的に配布されたような機関誌でも、他の図書館にあるのに国会図書館にないということもあるわけだ。

ついでだからタウトが来日した1933年5月の大阪朝日新聞を見ていたら、『前代未聞の航空葬 骨を機上から海に撒ちらす』という記事があった。長岡外史将軍は立派なヒゲと奇行で、当時の有名人だったらしい。死後も並の人と違って、遺骨を太平洋に撒くよう遺言した。遺族が逓信省航空局の許可をとり、羽田沖に撒くことにしたという。
近ごろ散骨が話題になることがあるが、先駆的な人がいたわけだ。
なんとヒゲごとデスマスクにした写真が掲載されていた。

● ARGO-本と展望と料理を楽しむ
東京都千代田区麹町1-4-2 ONE FOUR TWO by Tojo 9F tel.03-3265-5504
http://www.tojo.co.jp/argo/index.php

皇居の堀に沿って10分ほど北に歩いて、半蔵門近くのフレンチレストランでランチ。
元、東條会館という結婚式場だったビルが新装している。
堀端の9階にあって、眺めがいい。すぐ足下にイギリス大使館の広い敷地があり、小邸宅が散在している。

Entréeの前にAmuse-Boucheというものがあって、3皿、いきなりデザートかと思うようなのがでてきた。かわった形のバリ島の塩の結晶が1粒添えてあり、指でつぶして、料理につけて食べる。
Poissonは、魚にイカスミがのっていて、目が驚く。白い皿に、黒いソースが書の筆致のように描かれていて、見せる。
Dessertは、サフランとオレンジのアイスクリームで、黄色い円形がきれいで可愛くておいしい。
Cafeを最後にあじわう。
ランチなのに、一幕のショーを味わった気分になった。
(ランチ3600円、グラスの赤ワイン1200円で、支払いも僕にはタップリだった。)

ラウンジにはライブラリーがあり、ビジュアルな本が書架に並んでいる。
美術、建築、料理、ファッションなどおよそ1000冊。
展望と料理と本をそろえた場で、優雅でぜいたくな時間を過ごす。

■ ギャラリー冊-本のギャラリー
東京都千代田区九段南2-1-17パークマンション千鳥ヶ淵1F
http://www.satsu.jp/kudan/

堀をさらに10分ほど北に行って、千鳥ケ淵近くのギャラリー冊に行く。
建築家・内藤廣+編集家・松岡正剛によるギャラリーで、「五感の庭の驚き1933-2010」を開催中。

1932年に、ドイツのデザイナー・建築家のカール・ブロスフェルトが、装飾研究のために、身の回りの植物を接写した写真作品集『自然の驚異の庭』をだした。
この本を出発点として、1930年代にあらわれた「極大宇宙=最小自然」のテーマを扱う。
1933年には、山岳建築を構想し、宇宙志向を持った建築家ブルーノ・タウトが来日した。
花巻では、「羅須地人協会」という農民芸術運動を始めていた宮沢賢治が亡くなる。
近代日本きってのシュール小説といわれる尾崎翠の『第七官界彷徨』(1933)が現れる。
タウトが滞在した1930年代は、僕がずっと関心を持っているところで、ブロスフェルトだの尾崎翠だの、こんなのもありかと教えられた。

ムーンティー半月。
お茶請け付きで¥900。

月の満ち欠けにあわせたお茶を飲む

足立涼子の「本」形式のアートも展示してあった。
「ジャックと豆の木」の木が描かれた紙を折り畳んである。

     ◇     ◇

図書館めぐりをするには、堀に沿ってさらに数分ずつの距離で
イタリア文化会館図書室
http://www.iictokyo.esteri.it/IIC_Tokyo/Menu/Istituto/
昭和館の図書室
http://www.showakan.go.jp/
千代田区立図書館
http://www.library.chiyoda.tokyo.jp/
と続いていく。

(2010.6月 no.37)
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参考:

  • 『湖畔の声』 近江兄弟社 1912-
    『日本 タウトの日記』 ブルーノ・タウト 篠田英雄訳 岩波書店 1975
  • 『第七官界彷徨』 尾崎翠 創樹社 1980