早稲田大学旧図書館と豊島区立中央図書館


1.早稲田大学旧図書館
2.豊島区立中央図書館

5月半ば、初夏のような日射しの日に、飯田橋駅から池袋駅まで移動しながら、展覧会と図書館をめぐり、研究会に参加した。

(飯田橋駅−地下鉄東西線−竹駅橋)東京国立近代美術館(竹橋駅−地下鉄東西線−早稲田駅)早稲田大学會津八一記念博物館(早稲田駅−都電−東池袋4丁目駅)豊島区立中央図書館(徒歩で池袋駅東口から西口へ)光文社ビル(池袋駅)

□ 東京国立近代美術館工芸館『増田三男 清爽の彫金』展
千代田区北の丸公園1-1
http://www.momat.go.jp/CG/cg.html

彫金の人間国宝・増田三男(1909-2009)の作品展が2会場で開催されている。
竹橋の美術館には、『壁面 燭台』が展示されていた。1933年制作で、僕の関心からいえばブルーノ・タウトが来日した年ということになる。
タウトは日本滞在中、工芸を指導する職を得ていた。
増田先生は埼玉県内の高校に勤務していたのだが、僕も同じ時期に勤務していたことがある。制作に集中されていたからか、僕はほとんど縁がなくて、1度だけ話した記憶が残っているだけ。その頃は増田先生の作品の価値がよくわかっていなかったし、タウトにも興味はなかった。
今にして、増田先生はタウトの存在を承知していたか、その工芸をどう評価していたか、きいてみたかったと思う。

工芸館では新収蔵作品が並ぶ1室もあり、日本農民美術研究所の作品2点があった。これも僕のテーマにふれるところがある。
タウトの日本での滞在を世話した井上房一郎に、文化にかかわろうとする大きな影響を与えたのが山本鼎だった。その山本が信州で指導した農民美術運動の成果ということになる。
制作年は「1922-39年ころ」と表示してある。農民が作った工芸作品だから作者も制作年代も確定しにくい。国立の美術館としては収蔵を決めにくいものだろう。しかるべき人から寄贈でもあったろうか。

工芸館の前庭に橋本真之の作品「果樹園−果実のなかの木もれ陽、木もれ陽の中の果実」が置かれていた。僕がいくらウカツでも、こんな大きな作品を今まで気づかなかったなんてことがあるだろうかと受付で尋ねてみた。少し前まで裏庭にあったのを移動したのだった。

 早稲田大学旧図書館=早稲田大学會津八一記念博物館『増田三男 清爽の彫金』展
東京都新宿区西早稲田1-6-1
http://www.waseda.jp/aizu/index-j.html

増田三男展のもう1会場は早稲田大学。
雑木林やすすきの原、竹林、月など、武蔵野の風景を刻んだ作品が多いのだが、こちらには『武蔵野筥』という、そのものズバリに題したものまであった。
いかにも重力のある地球の制作物ということを思わせるカチっとした構築性の一方で、高雅で風雅で、きりっとした精神性まで感じさせる。

会場の會津八一記念博物館は今井兼次1925年設計の旧図書館。
強く正面性を強調した階段のつきあたりには横山大観の円形の作品がかかっている。
1階には、大隈記念室、富岡重憲コレクション展示室。
2階には、會津八一のコレクションのほか、文化財が展示されている。
かつて書庫だったところは高田早苗記念研究図書館になっている。

● かざみどり池袋店

早稲田駅から都電に乗り、東池袋4丁目駅で降り、首都高速の高架下のレストランに入った。
広い通りを眺める窓際の席に座った。
インテリアを作り過ぎないラフな感じ。大きな犬がグッタリと寝そべっている。アメリカのロードサイドのレストランのような雰囲気がある。
Aランチは、ハンバーグとクリームコロッケで850円。
気楽でのどかでいい食事ができた。

■ 豊島区立中央図書館
豊島区東池袋4-5-2 ライズアリーナビル4・5階 tel. 03-3983-7861
http://www.library.toshima.tokyo.jp/

その都電「東池袋四丁目駅」から2分ほど。
有楽町線の東池袋駅から直結しているし、池袋駅東口までも8分くらい。
平日は午前10時から夜10時まで開館しているから、交通の便と開館時間は申し分ない。(土・日曜・祝日は夕方6時まで)

2007年に新築移転した。
旧中央図書館は都電の向原駅近くにあった。都電の駅としては1駅分移動し、池袋駅には前より近くなった。
池袋は演劇の街を標榜していて、演劇専用ホールとの複合施設として作られた。

近くに超高層サンシャインの賑わいがあり、その活気をもっと広げようという再開発の狙いがあったようだ。
すぐ駅の反対側には池袋芸術劇場があり(都の施設で演劇専用ではないとしても)、至近距離のサンシャインにも劇場がある。過当立地ではないだろうか?
共用になる1階のロビーも、何だかガランとして、昂揚感を誘わない気がする。

図書館は4階と5階にあり、エレベータで4階から入り、5階には吹き抜けの階段を上がる。
床はベージュで足音のしない材質。カウンターまわりなど、特異なところは黒にして、アクセントをつけている。
広い吹き抜けが4階と5階に一体感をもたらし、落ち着いてゆっくり本を読む気にさせてくれる。

閲覧席は、おもに周囲の壁面にカウンタースタイルで並んでいる。外を眺められて気分がいいが、足りなそう。
広い吹き抜けが、面積を犠牲にしてる一面もあるように思う。
収蔵庫も、どこにあってどれだけの広さかわからないが、共用ビル内に十分確保されているかどうか。

不安はもう1つ組織のことにもある。
カウンター業務は民間委託し、選書や事業企画という図書館としての基幹領域は「図書館運営専門員」という非常勤の職員が行い、区の常勤公務員は管理運営的業務のみをするという。
最近、区の広報に掲載された「図書館運営専門員」の募集要項によれば、
条件:司書資格 3年以上の選書、レファレンスなどの実務経験
期間:2011.6.1-2012.3.31(更新あり)
給与:月額237,000円
職務:地域館のリーダー業務 図書館業務全体の企画、調整および改善に関すること
10か月の任期つき勤務で、他の地域館へのリーダー業務と、図書館業務全体の企画、調整および改善をするのは難しそう。
また突然の危機対応が必要になったとき、誰が責任をもって対応するのだろう。

根幹に専門性が必要な図書館や博物館のような施設に指定管理者制度はなじまないという意見がある。
でも現実に指定管理者が入った図書館で話していると「自分たちで図書館をよくするんだ」という意気込みを感じる。豊島区では指定管理者という選択を避けてはいるが、正職員も非常勤職員も委託職員もどこか宙ぶらりんで、やる気になりにくい組織になっているのではと思う。

豊島区と同様に夜10時までの開館している千代田区立図書館のホームページを見ると「ミッションステートメント」と「図書館からのメッセージ」が掲載されている。
豊島ではそのような理念が定められているのかどうか。
もしないとしたら、誰が決めるのか。
この図書館は、新しくてきれいだし、蔵書は多いし、ICタグで自動貸出機があるし、快適に見える。たいていの図書館で何かしらこうすればいいのにと不満を覚えることはあるものだが、これから先に不安を感じてしまった図書館は珍しい。

□ 協同総合研究所『地域循環型エネルギー〜小水力発電の可能性』
東京都豊島区池袋3-1-2 光文社ビル内

協同総合研究所 http://jicr.roukyou.gr.jp/
光文社 http://www.kobunsha.com/


池袋駅を通り抜け西口にでて、光文社のビル内にある協同総合研究所で開かれた「中山間地域の再生と協同労働の可能性」研究会というものに参加した。
今日の主目的はこれで、長い回り道をしてきた。

3.11の東日本大震災以来、「生き延びる」ことにどうもひっかかる。
そのためには大きいシステムではなく、小さいシステムがいいのではないかと考えている。
水を使ったあとの処理に関しては菅原元彦さんの浄化槽がある。
ではその前にそもそもエネルギーをどう調達するか。

研究会の今日のテーマは、茨城大学農学部地域環境科学科教授の小林久さんによる小水力発電のこと。
10年ほど前に富山の発電所美術館に行ったことがある。もとは水力発電の施設だったのを美術館に転用していた。
田園地帯に水力発電があることが驚きだった。山地の急流に比べれば水流の落差は小さい。こういう所でも発電できるのかという意外感が記憶に残っていて、小水力発電にはとても魅力を感じてもいた。

小水力発電の利点として、
・数えきれない適地がある
 河川 砂防ダム 用水路 上・下水施設 円筒分水
 ビル内の空調の水循環までOK
・安定性、予測性が高い (太陽光、風力は不安定)
資源エネルギー庁の試算では、中小水力発電の未開発容量は1200万キロワットと見込まれ、原発10基に相当するという。経費がまだ高いという問題もあるが、設置数がふえれば安くなる。希望を感じさせてくれる研究会だった。

光文社のビルにはミステリー文学資料館があるが、今日は改修中でか入れなかった。

(2011.5月 no.67)
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