航空科学博物館−成田空港滑走路先端


□ ホキ美術館
千葉市緑区あすみが丘東3-15
http://www.hoki-museum.jp/

外房線土気(とけ)駅が最寄りの駅になるが、車で向かった。房総の丘を切り開いて作られたらしい新開発地域で、あたり一帯の道も、住宅も、店舗も新しい。
美術館も2010年に開館したばかり。
写実主義の絵画を専門に展示するとうたっていて、新聞一面を使った大きな広告までだしている。
でも大半は、絵はがきのような風景画と、きれいな女性を描いた作品だった。
いくつか見て行くうちに飽きてくる。
ほかの○○主義に対抗してこれが写実主義の魅力だと訴える説得力も、スーパーリアリズムの衝撃もない。

立方体が宙に突き出すような建築は、高知の坂本龍馬記念館に似ている。
→[土佐に坂本龍馬と司馬遼太郎の足跡をたどる]
ホキ美術館

坂本龍馬記念館は、海に憧れた龍馬へのオマージュで、先端部に至ると広い太平洋を見おろすことになる。
ホキ美術館で先端に立つと、新しい住宅や、車を置いてきた駐車場が見える。
外に開くより、内に完結する建築を目指すべきではなかったかと思う。
1500円の入館料+500円の駐車料金に見合わなかった。

● 讃岐うどん「あじな味」
近くで通りかかった讃岐うどんの店で昼食。
ぶっかけうどんに天ぷらやおいなりさんを加えて、つい多くとりすぎたかと後悔しかけるほどだったが、おいしく食べて600円ほど。
これで美術館とバランスをとれた。

■ 航空科学博物館ライブラリー
千葉県山武郡芝山町岩山113-2
http://www.aeromuseum.or.jp/

成田空港の滑走路のすぐ南にある航空科学博物館に寄った。
ジェット機の操縦席に座ってみたり、タイヤの大きさに驚いたり。
2階にライブラリーがある。
図書のほかに映像資料もあっておもしろそうなのだが、初めて来た者にはとりあえず実物のおもしろくて、ゆっくり本を見るまでの余裕がなかった。

航空科学博物館の図書室 成田空港に着陸する飛行機が間近に見える

最上階のガラス張りの部屋からは滑走路が見渡せる。
航空機が離陸すると、あれはJALの上海行きだとか、着陸すると、どこからの便で、接地したときにタイヤから煙がでるのは摩擦で高熱になるからで、どれくらいの飛行回数で交換するとか説明がある。
飛行機が間近に見えるので、あらためてあんな重い金属の塊が空中を飛ぶものかと感嘆する。

■ 空と大地の歴史館
千葉県山武郡芝山町岩山113-2
http://www.rekishidensho.jp/rekishikan/rekishikan_top.html

空と大地の歴史館 航空科学博物館の敷地内に2011年の6月に開館した。
三里塚での空港反対運動に関する資料を展示している。

1978年5月20日に開港してから30年ほど。成田国際空港株式会社が激しい対立の歴史を振り返る資料館を作るほどに時間が経った。
(三里塚のドキュメンタリーを撮り続けた小川紳介の事績も展示されていた。つい先週、三里塚の撮影に加わっていた映像作家の飯塚俊男さんのシンポジウムを聴いたばかりだった。→[群馬県立図書館])
航空科学博物館は子供連れも多くにぎわっていたが、こちらは静かで重い。

□ 成田市三里塚御料牧場記念館
成田市三里塚御料1-34

航空科学博物館から車で数分、成田空港の南西端あたりに、成田市三里塚御料牧場記念館がある。
かつて御料牧場は広大だったが、開拓民に土地を譲り、空港に譲り、牧場は移転して、わずかな跡地はまちなかの小公園になってしまった。
それでも土地は今も宮内庁の所有地で、その中にある記念館は成田市が管理している。
ここの資料を見ると、馬が飼われていた牧が牧場になり、開拓地や空港になっていく経過がよくわかる。

敷地内に、水野葉舟(ようしゅう 1884-1947)の歌碑がある。
1924年に今の成田市駒井野に移住してきて、開墾を始めたころの生活を詠んでいる。
我はもよ野にみそきすと しもふさの あらまきに来て土を耕す 葉舟

水野葉舟に親しかった高村光太郎が訪れて「春駒」という詩を書いたが、その原稿が銅板に写され、石にはめこまれた碑が、葉舟の歌碑の近くに置かれている。

 春駒 高村光太郎

三里塚の春は大きいよ。
見果てのつかない御料牧場にうっすり
もうあさ緑の絨たんを敷きつめてしまひ、
雨ならけむるし露ならひかるし、
明方にかけて一面に立てこめる杉の匂に
しっとり掃除の出来た天地ふたつの風景の中へ
春が置くのは生きてゐる本物の春駒だ。
すっかり裸の野のけものの清浄さは、
野性さは、愛くるしさは、
ああ、鬣に毛臭い生き物の香を靡かせて、
ただ一心に草を喰ふ。
かすむ地平にぎらぎらするのは
尾を振りみだして又駆ける
あの栗毛の三才だろう。
のびやかな、素直な、初々しい、
高らかにも荒っぽい。
三里塚の春は大きいよ。

三里塚にある水野葉舟の歌碑 三里塚にある高村光太郎の詩碑

葉舟の歌碑(写真左)は、1957年に三里塚第一公園に建立され、1976年に三里塚記念公園に移された。
光太郎の詩碑(写真右)は、1972年に建てられた。
空港建設のために御料牧場が移転するのに並行して、こういうこともあったわけだ。

記念館の敷地内には、貴賓館がある。
茅葺き屋根の建築で、半分は和風だが、半分は洋館。茅葺き屋根に洋館という珍しいスタイルになっている。
すぐそばに、空襲にそなえて作られた防空壕も公開されていた。貴賓館に来ているときに空襲がある場合に備えたが、実際には一度も使われなかった。
みごたえのある資料館だった。

(2012.2月 no.92)
ページ先頭へ