越前・坂井・小松の図書館


東海道新幹線の米原経由で敦賀に行き、福井〜金沢と北上し、ほくほく線・上越新幹線経由で帰る旅をした。
いちばんの目的は、『街道をゆく』の「越前の旅」をたどることと、友人が出品している金沢21世紀美術館の展覧会を見ることだったが、途中、福井県内で印象的な図書館に思いがけず次々に出会った。

1.越前市中央図書館−観覧車つき
2.坂井市立中野重治文庫記念丸岡図書館−城のとなり
3.坂井市立三国図書館
4.小松市立図書館−宙にせりだす閲覧室
5.小松市立空とこども絵本館−もとは警察署

1.越前市中央図書館−観覧車つき
福井県越前市高瀬2-7-24 0778-22-0354
http://lib-city-echizen.jp/

越前市(旧・武生市)の文化財的建築やそば屋に行きたかったのだが、近くに駐車場がないので、少し離れた文化センターに置いた。
そこに図書館もあり、すぐ隣の公園には観覧車があった。香川県高松市の宮脇書店本店には、屋上に観覧車がある。ここも図書館の屋上にしたらおもしろかった...
→[瀬戸内の図書館とアート]

越前市中央図書館。隣に観覧車がある。 越前市中央図書館のカウンター

駐車場の都合でたまたま寄ったのだが、いい図書館だった。
館内に入ってすぐ目に入るカウンター付近の眺めが、ありきたりの図書館のようではなく、新鮮で、気持ちが動く。
カウンターが扇の要のような位置にある。そこから見れば、おおざっぱにいって、左に児童書、中央に一般書、右に視聴覚資料がある。
カウンターが閲覧室に正対していなくて、ゆるやかに開いている印象になる。
書架は十分に明るいが、カウンター付近は間接照明による抑えめな光量にしてある。明るい屋外の公園から入ってきたとき、気持ちが落ち着いて本に集中できる。
児童書の書架はつくりつけでデザインされ、書架や閲覧室の配置もよく考えられている。
床のピカピカ材だけがちょっとひっかかるが、ひどく気になるほどではない。
データを見ると、設計者は久米設計で、2006年に新築開館している。

脇から入ってしまったのだが、出てからあらためて図書館全体を眺めると、中の新鮮な印象に比べて、四角い面が並ぶごく当たり前の建物で、その落差に驚いた。でも観覧車の下の図書館という対比だけで十分ともいえる。

2.坂井市立中野重治文庫記念丸岡図書館−城のとなり
福井県坂井市丸岡町霞3-10-1 tel. 0776-67-1500
http://www.city.fukui-sakai.lg.jp/tosyo/

創建当時のまま残る数少ない城の1つの丸岡城を見学した。駐車場から見回すとすぐそばに図書館があるので寄ってみた。
城の近くにあることに配慮して、和風で、大きな瓦屋根がどっしりと安定感がある。
地域の特徴として中野重治文庫がある。(このあと図書館を車で出てまもなく、生家への標識があった。)
中庭を囲うように閲覧室があり、一部は吹き抜けで2階になっている。その2階の横長の閲覧席で、高校生くらいの女性2人が、顔をくっつけるようにして、楽しそうに話している。
ゆったり、のどか。
丸岡城の休憩所でランチしてきたあとでうっすら眠い。中庭に向けて置いてあるソファで、すこし昼寝をした。

丸岡城 丸岡図書館

3.坂井市立三国図書館
福井県坂井市三国町神明1-4-20 tel. 0776-81-2900
http://www.city.fukui-sakai.lg.jp/tosyo/

丘の上にある「みくに龍翔館」(写真左)を見てから、三国湊の古い建築を見るために丘を降りてくると、「みくに文化未来館」という複合施設(写真右)があって、図書館が入っている。
こんなに続けてたまたま図書館に行きあってしまう旅は珍しい。
閲覧室で大きなこいのぼりが2つ泳いでいた。

みくに龍翔館 三国図書館

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4.小松市立図書館−宙にせりだす閲覧室
福井県小松市丸の内公園町19番地 tel. 0761-24-5311
http://www.city.komatsu.lg.jp/1609.htm

今度の旅は、敦賀から出発して、北の金沢へと北上している。
途中の小松市では、宮本三郎美術館と、黒川紀章設計の本陣記念美術館を見たいと思っていた。
着いてみると、芦城(ろじょう)公園付近にそれらの美術館を含め文化施設が集中していて、駐車場に車を置いてゆっくり見て回れる。僕には「小松空港のある街」くらいの認識しかなかったのだが、落ち着いた風情のいい街だった。

その公園内に図書館があって、また、たまたまで寄り道する。
館内に入ると吹き抜けになっていて、2階部分が向こうからこちらにせりだしている。しかも壁が透明なガラスなので、宙に浮いているふう。圧倒された。
さらにそこが郷土資料・参考資料の部屋というのにもビックリ。
これまで見てきた図書館では、この種の資料は奥まって壁に囲まれてあり、暗くジミに扱われていることが多かった。
空港があるから浮遊感を大事にしているかのよう。

小松市立図書館。正面入口を入ったところの眺め。

歌舞伎『勧進帳』の舞台である安宅の関の街でもあり、歌舞伎に関する資料もとくに集めてある。(このあと安宅の関跡を見に行った。)

小松出身の作家、森山治の記念室もあった。
川端康成、中野重治からの手紙があり、福井中学で同級だった深田久弥が亡くなったとき森山が書いた弔辞も展示されていた。

(いい図書館なのだが、帰ってからホームページを見ると、デザインも文章も粗雑なのが惜しいと感じた。)

5.小松市立空とこども絵本館−もとは警察署
福井県小松市小馬出町(こんまでまち)10-3 tel. 0761-23-0033
http://www.city.komatsu.lg.jp/soratokodomoehonkan/

ひとまわり見終えて芦城公園前の駐車場に戻ると、すぐ前にあるレトロな建物があらためて気になった。
「空とこども絵本館」とある。
入ってみるときれいな室内にたくさんの絵本。
小松空港が近いから、空への憧れを満たすように、空にかかわる絵本を集めた一画もある。
リノベーションした施設なのだが、元は何と驚いたことに警察署!
たまに警察の頃を知っていた人が訪れることもあるという。「あの辺が留置場で、留められていた」というようなことはさすがにないらしいが。

小松市立空とこども絵本館 小松市立空とこども絵本館

1931年に小松警察署として建てられ、一時市役所の庁舎になったあと、絵本館にかわった。国の登録有形文化財に指定されている。

(2012.4月 no.95)
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参考: