八代海の図書館 (1/2)


1.宇城市立中央図書館
2.八代市立図書館

有効期限が迫ったANAのマイルをムダにしないように使ってしまおう!と思い立ち、ANAの熊本行きの便を予約した。
1月なのに雲と雨(または雪)の予報に見舞われながら出かけた。
熊本空港から人吉に向かい、八代に折り返す。(第1.2日)
後半は主に熊本市内をめぐる。(第3.4日)
→[熊本市の図書館 (2/2) ]

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 第1日 熊本空港から人吉へ南下する
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熊本空港に着くと雪が舞っていた。レンタカーを借りるときに、チェーンもトランクに入れておいてもらう。使わなければ無料、使うとあとで7,000円の追加料金がかかる。
でも走り出したら雪はやみ、晴れ間もみえてくるようになった。
熊本空港から南西へ、八代海に向かう。

□ 轟水源と轟泉(ごうせん)水道

三角半島のつけ根あたり、宇土市街のわずかに西に、湧水がある。
環境庁選定の日本名水100選に選ばれ、しかも現役最古の上水道の水源になっている。
眺めたり写真をとったりしていると、車でやってきて、ペットボトルに汲んでいく人が、ひとり、またひとり。水を汲む前に、流れ落ちる口のあたりを手慣れたふうで掃除する人もいる。大切に使っている。
この水で育てた野菜を売る無人の販売所が、近くの道にいくつか小屋がけしている。

 宇城市立中央図書館(不知火図書館)+宇城市立不知火美術館
宇城市不知火町高良2352 不知火文化プラザ内

横長の建物の中央に入口があり、左が美術館、右が図書館という複合施設。
美術館には開口部が少なく、図書館はほぼ全面透明なガラス壁。

施設の性格上、対照的なつくりになるが、北川原温のデザインは、周囲をぐるりと横組みのルーバーが取り囲んで ひとつの建築になっている。

図書館内には外からの光が入って明るいが、ルーバーでやわらげられている。過剰ではなく、気分がいい。

美術館では収蔵品展を開催していた。
日系ブラジル人の画家で、日本とブラジルで活躍したマナブ間部(まべ)。
1930年代のアメリカ画壇で活躍し、30歳で亡くなった夭折の画家、野田英夫。
思索的な版画を創っている野田哲也。
独特な表現をするアーティストがずいぶんでている。

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松橋i.c.から九州道に入り、熊本県の南端の人吉に向かう。
雪が降るどころか晴れ間さえあってうれしくなる。
人吉では、『街道をゆく』で司馬遼太郎と須田剋太が訪れた願成寺(かんじょうじ)、人吉城址、青井阿蘇神社と回り、2人が泊まったと思われる鍋屋本館に泊まる。(司馬遼太郎がこの宿に泊まったことがあるのは確かだが、『街道をゆく』の取材のときにここだったかは確認できなかった。)

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 第2日 人吉から熊本へ北上する
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九州道を北に戻って八代の街に入る。
八代では伊東豊雄のミュージアムを見たいと前から思っていた。
天文民俗学の友人、茨木孝雄さんに熊本方面に行くと言ったら、八代神社に行くことを勧められた。妙見信仰の必見の地なのだという。
八代では妙見と伊東豊雄を巡ることになった。

□ 八代神社
熊本県八代市妙見町405  tel. 0965-32-5350

正面に、妙見を象徴する亀と蛇を表した石柱が立っている。
11月中旬には妙見祭が盛大に行われる。笠鉾や流鏑馬など賑やかな行列の中でも、亀と蛇が合体した亀蛇(きだ 愛称ガメ)が親しまれている。
北斗七星をあしらったお守りを買う。

□ 鎭宅霊符神社(ちんたくれいふじんじゃ)
神社の門を出て左に行く。
坂道を上がっていくと鎭宅霊符神社がある。
八代神社の末社で、鎭宅尊星をまつる。
霊符は聖武天皇のころに版木に刻まれたが、それは失われ、今ある版は16世紀に彫り直されたものらしい。
北斗七星とか、妙見とかは、僕にはブルーノ・タウトの関係で縁がある群馬県高崎の少林山達磨寺や、埼玉県の秩父神社も関わっておもしろい。

八代市街を見下ろす高い位置にある。白い煙を吐き出す高い煙突が見える。

□ 盛高鍛冶刃物
熊本県八代市宮地町434 TEL:0965-32-4643 
http://www.moritakahamono.com/

八代神社の門まで戻り、さらに通り過ぎて少し先まで行くと古めかしく、由緒ありそうな建物があり、そこが刃物屋さん。
鎭宅霊符神社のお札はここでわけていただけると茨木さんに教えられた。
友人のと自分のと2枚いただく。
想定外だったのは、とても大きい。大きな図にたくさんの文字が並ぶ。

細川藩の刀匠をしていたという伝統がある刀鍛冶で、店頭に並ぶ刃物がみごとな形と輝きをしている。
九州の物産展に加わって遠方まで行くことがあり、熊谷の八木橋にも年に1度くらい行くという。販売するほかに、前に買ったものをそのとき研ぐサービスをしているという。
使いこなせるか自信がないが、包丁を1本買った。
今のところはレンタカーで動いているから問題ないが、大きなお札と、包丁と、帰りの飛行機が面倒なことになりそう。

この奥が工場。危険なので入らないように注意書きがでている。

・ 八代市厚生会館(芦原義信 1962)を眺め
・ 成竜園 で昼食をとり、
・ 八代城 の中を抜けた。

■ 八代市立図書館
熊本県八代市北の丸町2-35 tel. 0965-32-3385
http://www.lib.city.yatsushiro.kumamoto.jp/

カウンターが、いかにもここが図書館のサービスの中心ですというようにどっしり構えている。

上部の壁はガラスブロックのゆるやかな曲面で、裏側から外光があたり、淡い光を帯びて綺麗だった。

2階に独立した郷土資料室があり、充実していた。
ここでないと手に入りにくそうな資料をコピーした。

□ 八代市立博物館・未来の森ミュージアム
熊本県八代市西松江城町12-35 tel. 0965-34-5555
http://www.city.yatsushiro.kumamoto.jp/museum/index.jsp

建築関係の記事などでこのミュージアムの写真を見て、郊外の草原の丘の上にでも建っているように思いこんでいた。

来てみると、八代市街のど真ん中で、城趾からも間近なところにあった。
土盛りをして芝を植えてある。(建築雑誌などの写真は雑音を排して撮っている。)

丘と一体になって、曲線的でなだらかで軽やか。
かつてはこのあたりまでが海だったらしい。
道の向かい側にある熊本藩8代城代が母のために建てた別邸「松浜軒」は、松林が連なる海に面していたのでそう名づけられたという。

ここでも妙見の亀蛇が人気で、妙見祭のときのガメの形の山車が展示されていた。ミュージアムショップで亀蛇ペーパークラフト200円、亀蛇ストラップ500円を買う。

□ やつしろハーモニーホール
熊本県八代市新町4-1 tel. 0965-53-0033

八代市街に入ったことに見えたカラフルな建物に行ってみた。
劇場や会議室などの複合施設。
男女共同参画のイベントで落合恵子の講演をしていた。
ロビーにあるモニター画面で少しの間聴いた。
落合恵子の話は前にも聴いたことがあるが、とても心に響く。今日も時間の余裕があれば最後まで聴いていたいところだった。

□ 郡築三番町樋門

八代市の西部、八代海に面したあたりを地図で見ると、いかにも人工的な碁盤目状になっている。
「郡築」は八代地方でいう干拓のこと。20世紀初めの干拓事業で生まれた土地で、樋門は干拓地の水流を調整するためにある。

初期の水門で現存するのはこの三番町樋門だけで、1938年に造られた。

景色に東欧の映画を見るような寂寥感がある。辺境というか、ここで人が住むところのおしまいになるような印象がある。

□ 河口ウォッチング−球磨川

車であとわずか南に走ると球磨川の河口になる。今朝出発してきた人吉盆地から流れてきている。

突堤の先では川が海に溶けこんでいく。
傾き始めた太陽が向こうにあって、キラキラ輝いている。

看板があり、ニューヨークの3.11以後、テロの脅威がある。密航や密輸が巧妙になっている。不審者、不審物を見かけたら八代港湾管理事務所か警察へ連絡するようにと書いてある。
関東地方の内陸に暮らしていて、海辺に出ることがあっても太平洋岸という地域にいては、こういう危機感は思い浮かばない。西の海では現実的な切実さがあるようだ。

・ 八代広域行政事務組合消防本部庁舎(伊東豊雄 1995)
・ 新八代駅前モニュメント(乾久美子 2005)
に寄り道してから熊本に向かった。
新八代駅のキオスクには、「亀蛇あられ」「亀蛇豆てまり」「亀蛇黒みつ豆板」という菓子があった。荷物の増えついでにみんな買い込む。こんなにみやげを買うことは珍しい。

(2011.1月 no.77)
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参考:

  • 『星占い・星祭り』金指正三 青蛙房 1974
  • 『八代市文化財調査報告書 第43集 八代市妙見祭』八代市教育委員会 2010
  • 『「八代学」への招待』熊本地名研究会/編 全国地名シンポジュウム八代大会実行委員会/刊 1991地図URLなど