国民読書年記念行事(2010.6.26)


今年は国民読書年なので、埼玉県立熊谷図書館主催では、さいたま文学館を会場にして、記念イベントを開催した。

2部構成で、第1部は、作家の重本恵津子さんの講演。
重本さんを取り上げた番組『NNNドキュメント もう一度輝きたい〜蜷川演劇に挑む83歳』が、2009年秋に日本テレビ系で放送された。それを見ていたら、中学校を卒業した年に戸畑の図書館で読んだ『罪と罰』に衝撃を受け、のちに上京して早稲田大学でロシア文学を学ぶことになったと語っていた。
僕は尾崎喜八を慕う人の集まりで、尾崎喜八の評伝の著書がある重本さんと知り合ったのだが、そいういう個人史はテレビ番組で初めて知った。
蜷川幸雄がさいたまゴールドシアターを立ち上げると、応募して選ばれ、今は劇団の最高齢の俳優としても活躍されている。
図書館で国民読書年の企画を検討していて、重本さんのことを思い出し、図書館との縁や、埼玉で元気に活躍されている生き方から、ピッタリと考えてお願いすることにした。
1時間の講演は、期待どおりに、人生のこと、図書館のことを語って、感銘のあるものだった。

重本恵津子さんが語る (撮影:鈴木寿明)

あとの30分にチェーホフの『三人姉妹』の朗読。
さいたまゴールドシアターのお仲間2人も加わり、朗読とはいいながら、衣装も用意され、簡素な舞台公演になった。(ホンを持って台詞を言うので、「朗読」になる。)
配役は、オリガ/林田惠子さん、マーシャ/中村絹江さん、イリーナ/重本恵津子さん。

チェーホフはずいぶん前に読んだことがあるような気がするが、たしかな覚えがない。僕は軍楽隊の音楽を流す役目を受け持つことになり、どこでスタートさせるかタイムングを外さないように、文庫本で読んでみた。
すると、生きなくてはならない辛さ、やめてしまうこともできない苦しさが描かれていて、胸にこたえるところがあった。
さいたまゴールドシアターでは、初期の練習にこの戯曲がつかわれたという。何度も何度も読みこんむ。自分の人生と引きあわせて、いろいろな読みとりをし、読みようが深まっていくものらしい。
(その厚い積み上げを経た朗読だが、僕は操作室で音楽を鳴らすのに緊張していて、残念ながら楽しむ余裕がなかった。)

第2部は、図書館を利用して何かしらの実りを得た方の経験を話していただいた。
徳岡さんは、お話し会グループの活動から展開して、自分で再話を作ることを始めた。
川島さんは、蕨市に1930年代半ばの短い期間、ダンスホールがあったことを、古い資料や新聞であとづけていき、博物館の紀要に発表したこと。

参加者数が期待したほど多くなかったのが惜しかったが、いい企画だったと思うし、聴かれた方からも好評だった。

(2010.6月 no.33)
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