代官山蔦屋書店とヒルサイドライブラリー「目利きが語る"私の10冊"」平良敬一


東京に1泊旅行。
展覧会と映画を見て、図書館で調べて、講演会を聞き、初めての街を歩き、友人と飲んだ。

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   第 1 日
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□ 東京国立博物館『北京故宮博物院200選』展
http://www.tnm.jp/

中国の至宝の一品という清明上河図巻(せいめいじょうかずかん)の展示期間が終わり、複製画に置き換わってから見に行った。
黄庭堅(こうていけん)の筆「草書諸上座帖巻(そうしょしょじょうざじょうかん)」に圧倒された。線が奔放に跳ね回っている。@みたいな、これが漢字かと思うようなのまである。でも、もちろん文字で、形を成し、意味がある。約束どおりの文字を書いてこれほど自由な気分をあふれさせる書もあるのかと、吸い込まれるように眺めひたった。

● かよひ路
上野駅の入谷口を出てすぐの店でお魚定食を食べる。
地下鉄に乗り換えるには通り道だし、店内は落ち着いているし、値段もてごろでおいしいので、忙しく回りたい日には便利。

*地下鉄銀座線に上野から国会議事堂前まで乗る。

■ 国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/

国会議事堂前で降りて国立国会図書館に行ったら、第3水曜で休館だった。
国立国会図書館のヘビーユーザーではないから、こういう休館日があることを知らなかった。

*明日見るつもりだった映画を今日見ることにして、地下鉄半蔵門線の永田町から乗って渋谷に出る。
大震災が起きて地下に閉じ込められのがイヤなので、できるだけ地下鉄は避けてバスにしたいのだが、時間の制約があるときはやはり地下鉄が早い。


□ シアター・イメージフォーラム『ニーチェの馬』

父と娘と馬1頭で暮らしている農家の情景から、創世記の7日をひっくりかえした最期の7日が描かれる。
馬は、すさんだ風が吹き荒れる中を、苦しそうに首を大きく上下に振って歩く。
食事は湯に入れて柔らかくしただけのジャガイモ1個だけ。
井戸の水が涸れ、灯りのための油も切れる。
映像もストーリーも余計なものを一切そぎ落としている。
監督タル・ベーラは、これが最後の作品と公言している。
こういうのを見たら、ほかの一切が余剰物に思えてくる。

*田園都市線で渋谷から池尻大橋へ。
駅から今夜の宿に向かう道はゆるく曲がる細い道で、小さな店が並んで、地場の商店街の雰囲気。外向きの商店街の代官山から近いところに、こういう通りがあるのか...。
その中の一軒の


● 富士山ミート

という洋食堂で早い夕食をとり、今夜の宿にチェックインする。
宿の大橋会館の隣のマンションの1階角に「文化浴泉」という銭湯がある。銭湯とはいいながら現代的センスのデザインがされていて、何だかおもしろい所だ。

道をはさんで、左に銭湯、右に大橋会館。

ヒルサイドライブラリーに向かうので目黒川に沿った道に出ると、首都高速3号渋谷線と中央環状線をつなぐ大橋ジャンクションの、大きな円筒形構造物が見えた。

手前が目黒川を渡る橋。川岸には桜が並んでいて、春はきれいそう。
向こうに大橋ジャンクション。

■ ヒルサイドライブラリー 目利きが語る“私の10冊”第18回 平良敬一(建築ジャーナリスト)
http://www.clubhillside.jp/library/

建築に関わる6つの雑誌を創刊してきた人だから、建築関係の名著10冊を予想していたが、違った。
都市、空間、技術、メディア、生命、環境、地理などの本がリストされていて、建築関係の人がおおむね読んでいるか、読まないまでも名前に馴染みがありそうなのはルドフスキーくらい。
雑誌の編集には哲学がなくてはできないことかと思う。
北川フラム氏が(当然)会場にいらした。北川氏がプロデュースする越後妻有トリエンナーレを平良氏は高く評価し、『造形』誌に文章を書かれていた。
今年はまたトリエンナーレの年で、夏が楽しみ。

■ 代官山 蔦屋書店 (夜)
http://tsite.jp/daikanyama/

ヒルサイドライブラリーから数軒先にある新開店の蔦屋書店に寄った。
広大な敷地に「代官山T-SITE」という店舗群ができているなかに書店もある。

建築はクライン ダイサム アーキテクツ、デザインワークは原研哉、空間演出は池貝知子。雑誌を積み上げたカウンターとか、わかりやすいサインとか、照明の具合とか、さすがに鮮やかで、店内を歩いているだけで気分がいい。
本のほかに、もちろんDVDやCDのレンタル&セルがあり、スターバックスとファミリーマートもある。
1階は朝7時から深夜2時まで、2階は朝9時から同じく深夜2時まであいている。
都会に住む楽しさを存分に味わえそう。

*目黒川に沿って宿に戻る。川に並行して遊歩道があり、ちょっと暗い道だが、おしゃれな店が点在している。

● 大橋会館
東京都目黒区東山3-7-11 tel. 03-3710-8880

大橋会館は研修施設と宿泊室をそなえている。
室料5500円に朝食630円だが、楽天で予約して3000ポイント使うことにして、支払額は3130円。距離的には都内に泊まる必要はないのだが、2日続きに用があるので交通費1往復分がうくのと、時間の節約効果と、ふつう行きそうもないところを歩いたことを考えるとなかなかいい選択だった。

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   第 2 日
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■ 代官山 蔦屋書店 (朝)
http://tsite.jp/daikanyama/
しかも、翌朝、7時開館という蔦屋書店に、さすがに7時ではないが、ふだん本屋にこんな早くには行かないという時間に寄ってみると、本当にあいている。
つい見かけた
・『都市の冠』ブルーノ・タウト 杉本俊多訳 中央公論美術出版 2011 4200円
を、これから今日はまだかなり歩くのに買ってしまった。

右の写真は左の一部を拡大。Tをデザインに多用している。

*東横線の代官山から乗り、中目黒で地下鉄に乗り換えて国会議事堂前で降りる。
きのう休館だった国立国会図書館に寄る。


■ 国立国会図書館
http://www.ndl.go.jp/

相変わらず井上房一郎と山本鼎の別荘のことを調べている。

・『洋画家南薫造 交友関係の研究』南八枝子 杉並けやき出版 2011
この著者の南八枝子さんによると、南薫造が田端に住んでいたとのことで、その出典を教えていただいたので、以下の2つの原資料を見たかった。

・『南薫造の中学・美校時代−1900〜1904年までの2冊の日記から』藤崎綾 広島県立美術館紀要第12号 2009 所収
この本は現物が所蔵されている。
ここに南薫造の日記が掲載されていて、何カ所も田端に関わる記述があった。
該当頁をコピーしてもらう。

・『美術新報1巻22号』1903(m36).2.5
これはマイクロフィッシュで保存されているのを見る。
南薫造が雑誌の企画に応募した作品が入選し、南薫造の名と、その住所として田端が記載されている。
本館のマイクロ資料の複写窓口に行って、これも該当箇所をコピーしてもらう。
南薫造が田端に暮らしたことの裏付けになる資料を確認できた。
きのうの休館日から2日がかりになってしまったが、収穫が大きかった。

● 国会図書館食堂
親子丼450円を食べる。

* 都バスで、国会図書館前のバス停から新橋駅に。

□ ギンザ・グラフィック・ギャラリー『田中一光ポスター1980-2002』
□ ノエビア銀座本社ビルギャラリー『濱谷浩モダン東京1930』
□ 新井画廊『kowaii展』
□ 一穂堂サロン

と、ギャラリーのハシゴをして、最後は友人が加わっている
□ 藤屋画廊『第21回六朝会展』
を見て、その友人の画家と仲間とで
● 独楽(銀座1-3-3 G1ビルB1)
で楽しく飲む。
好きなように飲み食いしたつもりだが、ひとりあたり4000円ちょとだった。
もりだくさんの1泊旅行は、とても満ち足りて終わった。

(2012.2月 no.93)
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参考: