2月第4週 先端的セメント工場とローテク堆肥小屋


立正大学を会場にして「第6回環境まちづくりフォーラム・埼玉」が開かれたのに参加した。
(立正大学は[11月第1週(2) 立正大学のキャンパスを川が流れて荒川へ]参照)

6つの分科会があり、それぞれに用意されたバスに乗って現地見学に行く。
1.カッパ(河川環境) 2.メダカ(水田水辺) 3.キツネ(里山) 4.ミミズ(ごみ) 5.ナマズ(省エネルギー) 6.タケノコ(環境教育)
というのだが、僕は5.ナマズ(省エネルギー)に参加し、太平洋セメントと有機物循環センターを見学した。

■ 太平洋セメント株式会社熊谷工場
埼玉県熊谷市三ヶ尻5310 tel. 048-532-2831
http://www.taiheiyo-cement.co.jp/index.html


廃タイヤをセメント製造の燃料として使うことを始め、新しい建築物を作るセメント工場が、一方で廃棄物を処理する役割も担うこととなった原点の工場。
下水汚泥の焼却灰やパチンコ台など、セメントの原料として、あるいは製造のための燃料として、利用できる材料も拡大している。
1年に、埼玉県内のごみの1/4にもあたる63,000トンのごみを処理している。
もともと内陸に位置して運送費がかかって不利だったが、廃棄物を首都圏から集められる利点をもつことともなった。

熊谷付近を車で走っていて、ときたま目印にもしていた高いタワーは、原材料を焼成する巨大な窯なのだった。
原材料は、さらに高温で焼くため、ロータリーキルン(回転窯)に送られる。太い、回転する窯が、工場内の通路を横断している。
その下で説明を受けていると、熱気が届いてくる。
内部は耐火レンガを貼ってあるが、耐熱限界をこえるので外から水をかけている。シュウシュウと蒸気を発していて、迫力がある。

原材料は、向こうのタワーを1000度で焼かれながら落ち、こちらの回転窯に入って回りながら1450度で焼かれる。
写真では止まって見えるけれど、実際はこの太い窯がぐるんぐるんと、あたりに熱をふりまきながら回転している。
太平洋セメント熊谷工場のタワーと回転窯

日本近代の建築史に重要な意味があり、今も使われている建築として「ドコモモ100」を選ぶということがあった。荒川の上流、太平洋セメントの大野原にある工場(1956年竣工)は、それに選ばれた名建築で、前に見せてもらいに伺ったことがある。
モノの生産だけを考えているのではなく、働く人の感性までに配慮したすてきな工場群、工場配置、環境整備をしてあった。
そのような工場が、また時代の要請を先取りして汲み上げるようにして、生産工場=廃棄物処理工場という社会的成果を達成するのは、さすがな、当然の流れのように思った。

■ 特定非営利活動法人くまがや有機物循環センター
埼玉県熊谷市小島319-1 tel. 048-532-6406

太平洋セメントは、大規模・ハイテクだったが、一転して、こちらは小規模・ローテク。
学校給食の残飯や、契約している家庭から分別した生ゴミを集めてくる。
新幹線近くの倉庫のようなところで、時間をかけて発酵させ、畑の堆肥として使う。地域内で発生した廃棄物を、地域内で肥料として再生産に利用するシステムで、小さいけれど、こうした施設が地域ごとにできれば、大規模なゴミの終末処理施設が、なくてすむところまでいかなくても、長く使えるようになる。
熊谷市内で流通している「emi(笑み)」 を単位とする地域通貨にも加わっている。

運ばれた生ゴミなどは、まず左手前に置かれる。左の奥に進み、右に移ったら奥から手前に移動してくる。その間に発酵して堆肥になり、右手前から出荷される。移動は極小・ひとり乗りのショベルカーを使うくらいで、基本的に人力でする。かなりの行程が無人・自動化されている太平洋セメントとはまるで対照的。 堆肥をつくる小屋

● くまがや小麦の会のスターブレッド
立正大学に戻って、分科会ごとの交流会が開かれた。
熊谷の小麦をつかったパンを作るグループ「くまがや小麦の会」も参加されていて、メロンパンが配られた。
うどんには中力粉、パンには強力粉が適するが、熊谷産の小麦は中力粉なのに、パンを作ろうとしている。ブランド名は、熊谷市内を流れる星川からとって「スターブレッド」。
試作と改良を繰り返したかいあって、口あたりがよく、甘さもほどほどで、とてもおいしい。売っている店を探して、また買いに行こうと思わせるおいしさだった。

参考: