3月第5週 川幅日本1+川100選 


■ 「川幅日本一の標」序幕式典

荒川の中流に日本一川幅が広い地点があるということで、「川幅日本一の標(しるべ)」が立った。
東京湾に注ぐ河口から上流に62kmの地点、鴻巣市と吉見町の間で、2537mある。
2008年3月26日に、右岸の吉見町でその除幕式があった。
あわせて「川の国埼玉 魅力100選」の表彰式があった。川のおすすめの場所を公募し、人気投票を参考にして100箇所を選ぶというもので、僕が応募した案も選ばれたものだから招待された。

公式にいう川幅は、「計画高水位」点を結んだ長さ−ということは、増水時に水の流れが広がると想定された幅が大きい、ということになるだろうか。
ふだんの水の流れはとても狭い。

来賓の人たちが紅白のロープをひいて白い幕が取り払われると、黒い円柱が現れた。川を渡る道の両端にあるのだから、車で通る人が、これから日本一長い川幅を越えていくと心ときめくような美的なものだったらよかったのにと思う。 来賓の人たちがロープをひいて円柱の記念碑が現れた

「川の国埼玉 魅力100選」には、僕が応募した地点が9つ選ばれた。
除幕式が行われた地点のすぐ上流にある荒川と武蔵水路の合流点。
幸田露伴が秩父への旅の途中で休んだ、寄居町の象ケ鼻。
小川町の山中から流れ出し、町中で槻川に合流して完結する兜川。
僕の住む家のすぐ前を流れる元荒川の桜並木。
槇文彦の名建築・立正大学の中を流れる和田吉野川。
詩人・尾崎喜八が紀行文を記した神流川。
ほかに荒川、元荒川、間瀬川の各1カ所が選ばれた。

寄居や小川では、たくさんのおもしろいもの、人との出会いを受け取ってきた。
立正大学にはラグビーで楽しませてもらっているし、環境関係の知見も得た。
尾崎喜八については、詩を読み、尾崎を慕う人たちとの楽しい交流も続いている。
そのゆかりの川を応募して100選にはいったことで、僕にもささやかながら恩返しができたかと思う。

● アドマーニ
埼玉県鴻巣市小谷475 tel.048-548-5514
http://www.adomani.jp/

序幕式典は12時45分という不思議な開始時間だったので、その前に武蔵水路沿いにあるレストランで食事をした。

田園のなかを利根川の水の一部を荒川に水を導く武蔵水路が流れている。
歩く人がいなくて、ほとんど車ばかりが通る道が並行している。
その途中に木立のひとかたまりがあって、レストランがある。
水路の脇の木立の中にアドマーニがある

外観も内装も軽やかでこりすぎていない。
かなりの人数が入れるのだが、テーブルをうまく配置し、庭に視線を誘って、明るく風通しがいいふうにデザインしてあって、他の客の存在が淡くなっている。だから落ち着いて居心地よく食事をできる。
この日はパルマ産生ハムとレタスのペペロンチーノをとった。

■ 長島記念館 
埼玉県熊谷市小八林1022 tel.0493-39-2025

旧埼玉銀行頭取・会長を勤めた長島恭助(1901−1992)のコレクションを公開している。 横山大観、前田青邨、小林古径などの日本画や、高田誠、中川一政、宮本三郎などの洋画のほか、古い貨幣など経済関係の資料もある。
小規模だが、のどかないいところで、帰り道にひと休みに寄った。

蔵の中の展示を見て、庭をぐるっとまわって元の入口付近に戻ってくると、受付の女性が、外に置かれた縁台に自家製のお新香を添えてお茶を用意してくれる。僕は何度かきていて顔を覚えていらして、しばらく世間話。
ここの責任者をされている田沼さんは、僕が埼玉県立近代美術館にいた頃、友の会の役員をされていてお世話になった、そんな縁もある。
田沼さんは、毎日こちらに来られているのではなくて、あいにくこの日は不在だった。

庭には柚子の木があって、実がなる季節には箱に集めてあるのをいただいたこともある。
荒川近くの田園地帯にあって、いかにものどかなミュージアムで、気持ちが心地よくゆるむ。

門から住居に長い敷石道がのびる

参考:

  • 『川の国埼玉 魅力100選』パンフレット 埼玉県 2008
    僕の応募地点が選ばれたのは以下のとおり
    2 荒川  荒川と武蔵水路の合流点
    9 元荒川 鎌塚(さくら橋付近)
    10 元荒川 北新宿と榎戸の境界付近で、元荒川がJR高崎線をくぐるあたり)
    27 兜川  原川
    77 荒川  永田 不動の滝
    79 荒川  象ケ鼻
    82 神流川 下久保ダム下 三波石峡
    96 間瀬川 間瀬湖畔
    100 和田吉野川 立正大学キャンパス
    なお、僕が書いた「推薦者コメント」が、パンフレットでは一部無断で(粗末に)書き換えられてしまったので、以下に原文を記します。

    2 荒川
    利根川の水を武蔵水路が荒川に導いている。
    利根川の取水地点には利根大堰があり、よく知られているが、水が分かれていく様子ははっきり見えない。
    合流地点では、激しい勢いで利根川の水が荒川に流れこみ、近づいただけで轟音が聞こえてくる。その勢いで対岸を削ってしまわないようにしているくふうも見ることができる。

    82 神流川
    美しい淡い緑色の岩が、細いV字の谷にゴロゴロしている。
    三波石は、明治初め、日本の地質学発祥のころに研究者によって名づけられた。
    昭和13(1938)年にこのあたりを旅した詩人・尾崎喜八は『神流川紀行』を書いた。当時の吊り橋が今は鉄橋になっているなど、時間の流れをたどる楽しみもある。

    100 和田吉野川
    旧・川本町から流れ出して鴻巣市で荒川に注ぐわずか11kmの川。槇文彦設計の名建築である立正大学のキャンパス内を流れて、とても風情がある。
    桜並木がとてもきれいだときくけれど、まだその季節には行ったことがない。ときたま行っている好きな川でもあり、まだ十分に見ていない憧れの川でもある。