6月第4週 また『春の小川』 渋谷川のこと (寄居-生駒の3)


生駒山についての資料にあたるためにまた国会図書館に行った。
今日も四ッ谷駅からバスに乗ったのだが、本数が少なくて少しの時間待たなくてはならなくて、上智大学の中にあるイグナチオ教会に入った。円形天井の天頂から放射状に細いステンドガラスの帯が幾筋もおりて鮮やかに映えている。しばらく静かに座って過ごす。

■ 国立国会図書館 
東京都千代田区永田町1-10-1 tel. 03-3581-2331
http://www.ndl.go.jp/


生駒山には山頂あたりに生駒山宇宙科学館というのがあって、建築的に注目されたものだったらしい。昨年はプラネタリウムの投影に関わっていて宇宙観測施設などにも関心を持っていたが、生駒山はひっかかってこなかったし、建築の方面からもきいたことがなかった。

生駒山宇宙科学館に関しては3つの資料を見た。
・ 『生駒山宇宙科学館』 建築文化 1970.3
・ 『生駒山 宇宙科学館』 建築 1970.3
・ 『博物館教育についての一試論−生駒山宇宙科学館を事例として−』山中正宏 「地理学報」第27号 1989

端末機で閲覧を申し込んで、新館にある「雑誌カウンター」で受け取る。
3つの雑誌とも、数冊ごとがまとめて1冊に分厚く製本されていて、重い。
必要なところを複写申込みし、しばらく待って受け取る。

前回に続いて鉄道関係の歴史については2つ。
・ 『信貴生駒電鉄社史』 近畿日本鉄道株式会社 1964
・ 『生駒山宝山寺門前町の形成と大阪電気軌道の郊外開発』 鈴木勇一郎
    「ヒストリア」vol.205 2007.6 大阪歴史学会


そしてなにより直接的な資料として、ブルーノ・タウトに山上都市の設計が委嘱されたことを報じる新聞記事。
 『二千尺の生駒に建つ"山の市街" 林間3万坪に憩ひの群落 タウト博士が建設に着手』 大阪毎日新聞 1933(s8).10.30

これはロール状にマイクロフィルムに収めてあって、ローテクの機械のハンドルを手でくるくる回して該当の記事を探す。
そしてまたコピー。

刑事コロンボに『パイルD−3の壁』というのがあった。出資を渋る実業家を建築家が殺したらしい。建設途中のビルのパイル(杭)に死体を隠したのではないか−コロンボは建築関係の官庁に行って、死体が隠されていないか確認するためにパイルを壊す許可をとろうとする。一度立ち上がっているものを壊すのだから難しいことらしく、筒に丸めた図面をもってなんども窓口の長い行列に並ぶシーンが印象的だった。(そして最後のどんでん返しも...)
国会図書館のあちらこちらのカウンターに注文しては待つことを繰り返していると、コロンボのような気分になった。

図書館から美術館へは、お堀に沿って北上し、千鳥ヶ淵の手前で右に曲がって、千鳥ヶ淵に沿った土手のような道を行く。あまり歩く人がいない、置き去りにされたような独特の雰囲気で、こんな道はほかにないように思う。 千鳥ヶ淵の土手を美術館に向かう

■ 東京国立近代美術館『カルロ・ザウリ展』
東京都千代田区北の丸公園3-1 tel. 03-5777-8600 03-3214-2561
http://www.momat.go.jp/


今年の新年は家族でスペインに行って迎えたのだが、そこでお会いした華道の本の編集者、松島牧世さんからチケットをいただいていた東京国立近代美術館の『カルロ・ザウリ展』に寄った。

その企画展をさらりと見たあと、
今年、童謡『春の小川』のイメージのもととなった川が都内にあるというので歩いてみたのだが、常設展にその写真が展示してあって驚いた。
「その写真」というとヘンだが、畠山直哉『川の連作1993-96』は、渋谷川の何カ所に降りて撮影した作品だった。
地面の高さにカメラを据えているので、地上部分と地下部分が同じ長さになった縦長の写真が、横にズラリと並んでいる。
よく見ると汚れた水路や、雑然とした小ビルが写っているのだが、離れてぼんやりと眺めると、いろとりどりの飾りものが並んでいるような華やかさになる。
たてに並列ではなく、花びらのように放射状に並べれば万華鏡になりそう。

■ NIKI GALLERY SATSU (ギャラリー冊)『ルドルフ・シュタイナーと芸術』
東京都千代田区九段南2-1-17 パークマンション千鳥ヶ淵1F
tel.03-3221-4200
http://www2.satsu.jp/

今日はお堀端に沿って移動していて、千鳥ヶ淵の戦没者墓苑のすぐ北側にあるギャラリーに寄った。
パークマンション千鳥ヶ淵というマンションが、建築家・内藤廣の総体的な設計監修により新築され、その1階の一部がギャラリーになっている。
編集家・松岡正剛が書棚と書物の導入を委嘱され、内藤廣が、文庫本を収容する「糸宿房(ししゅくぼう)」と、よりすぐりの全集だけを収容する「册集居(さっしゅきょ)」を設計した。
美術館やギャラリーはホワイトキューブといわれるように、白い壁面で構成された箱であるのが一般的だが、ここでは白い壁ではなく書棚に作品を展示することになる。

敬愛する幸田文の『崩れる』が、表紙をみせて置かれていたり、古民家ギャラリーかぐやでお会いした横尾龍彦さんや、尾崎喜八の孫の石黒敦彦さんの展示などがあって、ここには初めてだったのだが、親しい人に迎えられたような気持ちになれた。
お茶菓子つきでハーブティーを味わって、収穫の多かった1日を終えた。

参考:

  • 『 Underground 』畠山直哉 メディアファクトリー 2000