8月第2週 日本橋で天ぷらを食べる   


■ 東京国立博物館 特別展『対決−巨匠たちの日本美術』
東京都台東区上野公園13-9 tel. 03-3822-1111(代表)
http://www.tnm.go.jp/

東京国立博物館で『対決』展を見た。
日本美術史上の巨匠2人ずつを対比して12組を見せる。
国宝や重文が次々と現れてきて華やかな展覧会だったが、『國華』という、伝統はあるけれど世間であまり知られているとはいえなそうな地味な美術研究誌の創刊120周年を記念する展覧会。
「運慶vs快慶」とか「狩野永徳vs長谷川等伯」などまっとうな巨匠対決もあるが、「円山応挙vs長沢芦雪」とか「若冲vs 蕭白」なんていうのが巨匠の列に加わって今では当たり前に思えるのも、そもそも『國華』がとりあげて再評価したからだという。

■ 一番星画廊
東京都中央区日本橋3-6-9 箔屋町ビル1F tel. 03-3272-2525
http://www.1banboshi.co.jp/

そういう展覧会があると準備段階のころから教えていただいたりしていた一番星画廊の星忠伸さんが、最近、日本洋画商協同組合の理事長に就任された。
上野から日本橋にまわって、高島屋の裏手にある画廊に、妻と一緒にお祝いに寄った。
星さんは、かつて画廊経営のほかに、荒川に沿った長瀞の民家をつかって美術館を開いていた。はじめの出会いというのが、僕が自転車で通りかかったとき、開館準備で竹ぼうきをもって門前の掃除をされていたときだった。
そののどかな出会いと、星さんが次々と実現されている大きな達成や由緒ある地位とがどうも落差が大きくて、いまだに信じられないような思いがすることがある。

● 八ツ花(やつはな)
東京都中央区日本橋2-6-11 tel. 03-3271-9354

画廊を出て、角を2つ曲がって路地に入り、天ぷらの店で昼の食事をした。星さんの画廊からは徒歩2分ほど
小さな店内の1階はカウンターをぐるりと囲むだけの席。
揚げたてがすぐ目の前に置かれる。
えび、あおりいか、三つ葉、しいたけ、ごく短い期間しか手に入らない子持ちあなごなど。
冷たいビールのあと、冷酒にかえる。
最後は天茶。
よい材料を確かな腕でサラっと揚げる。長く天ぷらを揚げつづけてきた店主は、でもリラックスした雰囲気で、過剰にならずにさらりと話される。短時間で揚げる天ぷらにいかにもふさわしいと思える。
星さんのおおらかな話しぶり。そのまま絵にも写真にも映画にもなりそうな店主。さりげなくサーブしながらなじみの客と店の主を盛り立てる店員さん。おいしい天ぷらとおいしい酒で幸福そうな妻の笑顔。
大きなビルばかりの谷間にごくふつうサイズの2階建ての店があって、イメージとしては両手でくるめるような小さな空間だが、昼酒の酔いもまわり、ほろほろとほぐれていきそうな至福のひとときになった。

参考: