9月第1週 京亭で生駒劇場の地図を見る
      (寄居-生駒の4)  


■ 京亭
埼玉県大里郡寄居町寄居547  tel. 048-581-0128

寄居の京亭に、鮎の料理とも荒川の眺めとも別な目的で訪れた。
そもそも寄居に、のちに京亭になる別荘を構えたのが佐々紅華で、奈良県生駒山の生駒劇場で1921年にミュージカルを上演した。
その家を継いだ姪と結婚した相手が劇作家で、別荘に残っていた当時の脚本や楽譜を発見したことから、去年はそれを再現する公演を催し、僕も代々木上原まで見に行った。
いつか生駒山にも行きたいと思っていたのだが、ようやく近くまで行く用ができたので寄り道することにして、でかける前にあやふやなことをお聞きしようと、その劇作家、清島利典(きよしまとしすけ)さんのところに伺ったのだった。

大事なことを教えていただき、生駒に行く前に伺ってよかった。
『生駒市誌 資料編U』に収録された「生駒門前町の職業別分布図」というものがあった。生駒駅から宝山寺駅までケーブル線が運行されているあたりが手書きの見取り図に描かれていて、「生駒劇場」とはっきり位置が記されている。
同じ本の文章には、
「この劇場生駒座は、大正十三年三月一日、今の山崎新町の森田スプリングの上のところに落成された。」
とある。劇場は終戦後まもなくに解体されたというのだから、跡を探すのはなかなか困難なはずだが、今ある会社名は大きな手がかりになる。
(あとでインターネットで検索して、その会社の正確な現在地も確認できた。)
『生駒市誌』は埼玉県内の図書館ではどこにも所蔵されていない資料なので、清島さんが調べていらしたのがとても助かった。
ほかに佐々紅華のアルバムなど貴重な資料も拝見し、生駒劇場も佐々紅華もいちだんと近づいた気がした。

一方で残念だったこともある。
ここ数年ブルーノ・タウトの足跡をたどっているが、タウトは生駒山頂に都市計画の設計を委嘱され、図をかいている。
このところ関心を持ち続けてきた2つのこと−寄居とタウトが生駒山で重なったか!という思いがあり、タウトの計画地域内に生駒劇場があったのならドンピシャリ!と期待していた。
清島さんに見せていただいた資料で、生駒劇場が生駒山の中腹の宝山寺付近にあることがわかった。
タウトの計画は山頂とやや下ったあたりまでで、2つは重ならないことがはっきりしてしまったのが少し惜しい。

■ 家具スタジオ木の香 『竹内尋教・水野里香展』
埼玉県比企郡小川町角山216-1 tel. 0493-74-6588
http://www.kinoka.com/ogawa.htm

木の香からダイレクトメールが届いていて、ちょっとひかれていたので、小川にまわって、寄ってみた。
水野里香さんは、やきものの作品を作るのだが、架空ミニチュア建築みたいなかすかな詩情があったり、自動車に金属のタイアをつけてユーモアもあったりで楽しい。
竹内尋教(のりゆき)さんの彫金は精巧で美しい。妻がいっしょだと(いくつも買いたがりかねず)アブナイところだった。
話をしていたら、なんと長野県富士見の人。
「富士見には縁が深くて先週も行ったばかりなのですよ」
「そうですか。私たちのアトリエは蔦木宿のすぐそばですよ」
「あ、そこも高原のミュージアムに行く前に寄った!」
なんてことになって、ととてもなごやかになって楽しかった。
それにしても、このところの偶然ラッシュはますます勢いづいているようだ。

参考: