11月第2週(1) 大岡川をさかのぼって黄金町バザール


■ 横浜トリエンナーレ
赤れんが倉庫1号館:
前の広場で全国から集まったB級グルメがテント営業していて、とてもにぎやか。中では、前にも見た映像作品、過去のパフォーマンスの記録映像などがちらほらあって、新鮮さに欠けた。
新港ピア:会場の大きさに感心してしまった。ほかにはどんなふうに使っていくのだろう?
作品では、映像やインスタレーションに血の匂いのするのがいくつもあって、僕はこういうのは苦手だ。

● NEXT YOKOHAMA BAY
神奈川県横浜市中区新港2-2-1 横浜ワールドポーターズ2F
tel. 045-227-1212


おかしなレストランで昼食をとった。
横浜ワールドポーターズの2階にあって、「夜景観光案内所」でもあるレストラン&バー。
複合ビル内の通路の一部を仮にレストランにしている−とでもいうように奥行きがない。ほんとに食事できるの?という感じでのぞきこむと、店の人がどこからか現れて席に案内された。ガラスの窓際に、外に向かって座ると、トリエンナーレの会場が眺められた。
1000円のランチをおいしくのんびり食べた。通路で食事しているような奇妙な気分も悪くない。

■ 黄金町バザール
ふたたび横浜トリエンナーレに戻って、日本郵船海岸通倉庫会場を回る。ここでも感心する作品に会わなかったが、倉庫会場前の桟橋から船に乗って、今日、ようやく興奮した。
ランドマークタワーなど湾岸の風景を眺めながら、大岡川をさかのぼって内陸部に入っていく。

僕にはこのあたりはかつて生活圏だったが、船で通っていくのは初めてのことで、とても新鮮だった。

根岸線をくぐり、川に突き出すようにして弧をえがく都橋商店街を、水上から見上げながら進んでいく。

京浜急行日ノ出町駅近くの桜桟橋で降りた。
高架の線路下に作られた日ノ出スタジオに入る。2階建てで、いくつかの商店がおさまっている。商店間の通路を2階に上がると顔は屋根上にでてまう。頭のすぐ上は高架線の腹。見下ろせば店舗群。キャットウォークのような意外な感覚で気持ちがはずむ。

ぶらぶらと線路沿いに歩いて、黄金スタジオに入る。
透明なガラス屋根下の通路を行ったり来たりして、紙で果物を作るウィット・ピムカンチャナポンの展示など眺める。
「試聴室その2」という、CDの試聴ができるカフェがあり、コーヒーを飲んでひと休み。

初音スタジオには、北川貴好のインスタレーションがあった。
かつて売春地帯だった建物の1つを作品に改装してあり、狭い空間にいくつものベッドを配置していた様子を偲ばせる。

僕はかつて元町の近くに住んでいて、京浜急行の追浜(おっぱま)駅のすぐ近くの精神病院に4日おきに夜勤の仕事で通っていた。根岸線の石川町駅から横浜駅に行き、京浜急行に乗り換えるのがふつうの行き方になる。
夕方の出勤だから、ときには桜木町駅近くの古本屋をのぞき、伊勢佐木の通りを歩いて黄金町駅にでるような寄り道をしてから行くのも楽しみだった。
阪東橋のそばのロック喫茶CLEOにもよく行った。
でも黄金町駅付近は通り過ぎて電車にのるばかりで、そういう特殊な店が集中している所だということにはまったく気がつかなかった。
ずいぶん年月を経て知ったことになる。

船から眺めておもしろそうだった都橋商店街にも行ってみた。
川がゆるやかに曲がっているのにあわせて、2階建ての長屋形式の長い建物が建っている。1階にも2階にも、1つ1つはとても小さな店が並んでいる。ほとんどが飲み屋のようだ。1階でたまたま開店準備中の店の戸があいていて、ひょっと中を見るとカウンターがあって、椅子が数席。すぐ近くに向こう側の壁がある。
いちばん端には交番が建っていた。交番が機関車で、長い編成の飲み屋列車を引っ張って走っているようでもある。

● ダウンビート
横浜市花咲町1−43 tel. 045-241-6167

桜木町近くにでて、ジャズ喫茶に入った。
ちぐさは閉店したが、こちらは健在。
前方の2つの大きなスピーカーの間のドアの先にトイレがあるという妙な配置も変わらずにあった。

■ 創造空間9001(旧東横線桜木町駅舎) 『三田村光土里@ヨコハマ』展

東横線桜木町駅跡がギャラリーになっていた。
『彼女のドレスの紫の花』という作品があるのは、かつて自動券売機が並んでいた裏側。券売機の向こう側はこんなふうになっていたのかという発見もあった。
全般に、作品よりも、作品を置いている背後の街や空間のほうが新鮮に訴えてくる感じになることが多い1日だった。