3月第4週 煉瓦亭・ひまわり・『長江にいきる』


● 煉瓦亭
東京都中央区銀座3-5-16 tel. 03-3561-3882
http://www.ginza-rengatei.com/index1f.html

埼玉新聞に連載している『寄居日和』に洋食つばきのことを書いた。それで洋食について調べていたら、この店がカツレツを作り始め、キャベツを添えるのもやはりここが創始者とのこと。
2階の席について、上カツレツとライスを注文した。
休みの日なので昼食から赤ワイン1/4ボトルまでとると、オリジナルのラベルがついた可愛い瓶と可愛いグラスが置かれた。
創業明治28年。建物は創業当時のものではないだろうけれど、落ち着いた、古色の風情がいい。ワインのラベルやほかの印刷物などにも、明治のハイカラなイメージが描かれている。ステッキの紳士にパラソルの女性、ガス灯、馬車、子犬。
入口の出入りにもドアを開け閉めしてくれて、上品で居心地のいいサービスを味わった。

● 銀座風月堂 (東京風月堂銀座本店)
東京都中央区銀座2-6-8 日生ビル tel. 03-3567-3611
http://www.tokyo-fugetsudo.co.jp/index2.html

『建築写真文庫100 洋食店』という本があって、1960年頃の建築的みどころのある洋食店が掲載されている。
洋食つばきの金子弘さんがコックをされていた店があるかもしれないと思って、店に持っていったら、米津風月堂が大当たりで、とても懐かしがられた。
『東京凮月堂社史』には、米津風月堂はいったん倒産したが、東京風月堂として再生したと記されていた。
それでこちらも現地を確かめに行ってみた。
かつて村野藤吾設計の米津風月堂があった並木通りとみゆき通りの角に行ってみると、今あるのは改築された建物で、銀座風月堂の看板がかかっている。
菓子の販売と、喫茶程度があるくらいで、かつてのような本格的なレストランはないようだ。

■ SAN-AI GALLERY『浜島桂太展』
東京都中央区日本橋蛎殻町1-26-8 三愛水天宮ビル1F
tel. 03-5847-7714

http://www17.plala.or.jp/san-ai_gallery/

友人の洋画家、浜島義雄さんの息子が日本画家になり、個展があるというので寄ってみた。
ヒマワリをモチーフにしている。形の美しさから、しだいに力強い生命力を内包していることにひかれるようになり、画面が抽象的になってきているという。
(だからこの絵をみてヒマワリとわかるのは、帽子のような形を見て、ぞうをこなしているウワバミだとわかるようなもの?)
去年も同じギャラリーで個展をして、そのときは牛だった。実のつまったヒマワリの黒い花が、重そうな牛の塊のようにも見えてくる。
花びらが数枚散らされている作品を見ると恐竜の歯のようにも感じられる。
ある種の抽象的作品は拒絶するように立ちはだかってしまうことがあるが、そんなふうにいろいろな思いを誘いだす魅力がある。

■ ブリヂストン美術館
東京都中央区京橋1-10-1 tel. 03-3563-0241
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/

また埼玉新聞の『寄居日和』関連で、安井曾太郎(1888 - 1955)が寄居に疎開していたことが気になっている。疎開中にかいた作品がこの美術館にあるらしいという話を聞いて、確認したくて寄ってみた。
この秋にも安井曾太郎展を開催する予定になっているが、その担当の学芸員は不在で、他の方に伺ったが、どうも目指す作品は石橋美術館も含めて所蔵してないようで、残念だった。

■ ユーロスペース『長江にいきる』
東京都渋谷区円山町1‐5 tel. 03-3461-0211
http://www.eurospace.co.jp/index.html

長江(揚子江)のほとりに住む家族が「三峡ダム」の建設のため、家を壊して土地を立ち退くことを迫られる。
秉愛(ビンアイ)は働き者で、障害のある夫を支え、子どもによい将来を送らせたいと奮闘している。
そこに村の役人がやってきては、激しいとやりとりが繰り返される。
ずいぶん対抗しているようでいて、理詰めな条件闘争はできなくて、中国の強大な官僚制への諦めがある。何があっても生き抜いて、役人たちより長生きしてあの人たちのきっといい死に方をしないだろう最期も見届けてやると意地をはるしかないのがせつない。
ダム湖の長さは湖北省の宜昌から重慶まで約600キロにも及び、140万人が移住したという。こんなやりとりがたくさんあったことだろう。
中国の川の長さ、大陸の大きさを思う。

参考:

  • 『建築写真文庫100 洋食店』 下出国雄編 彰国社 1960
  • 『東京凮月堂社史』 2005