7月第3週 歌舞伎座『五重塔』


今年は越後妻有トリエンナーレの年。8月初めに見に行くつもりだが、今月はその区域内の旧松代町に暮らす池田さん姉妹が歌舞伎見物に来たのに同行した。

■ 歌舞伎座『五重塔』『海神別荘』
http://www.kabuki-za.co.jp/

『五重塔』は、棟梁の源太が獅童。のっそり十兵衛とあだ名される大工が勘太郎。NHK大河ドラマ『新撰組』には、こういう人たちが主役でなく出ていたわけだ。
十兵衛が苦心の末建てた五重塔の竣工目前に大嵐に見舞われる。幸田露伴の原作では、力強く、またリズミカルな言葉で、数ページにわたってえんえんと激しい雨風の描写が続く。そのクライマックスの場面が、どんな舞台になるか期待していた。もしかすると本当に水を使うかもしれないとか。でも意外に短時間であっさり処理されて、拍子抜けだった。

驚かされ、目を見張ってしまったのは、次の泉鏡花原作の『海神別荘(かいじんべっそう)』。
海中の宮殿のセットといい、せりふのしゃべり方といい、完全な現代劇。歌舞伎役者が歌舞伎座で演じてはいるが、「これが歌舞伎?!」ととまどうほど。
鮫が襲ってくる場面などは大きな映像が使われるし、舞台上手では黒いタキシードの奏者がハープを奏でる。
地上から海中の王子に嫁入りする玉三郎の魅力はさすがだった。

メゾンエルメス『L-B-S名和晃平』、福原画廊『小林裕児展』、資生堂ギャラリー『ヘルシンキ・スクール写真展』などハシゴしてから汐留に行く。

■ パナソニック電工汐留ミュージアム『坂倉準三展』
http://panasonic-denko.co.jp/corp/museum/

広い会場ではないが、このところ実寸復元をすることがよくあって、今回は
li邸/東京/テラスと大扉/1941年/
の大扉が復元されていた。建築はそこに行ってこそだが、いくらか埋め合わせになる。

飯箸邸は軽井沢に移築されてドメイヌ・ドゥ・ミクニになっている。
坂倉は西村伊作の娘と結婚しているが、西村の故郷、和歌山県田辺は、ほかにも南方熊楠だの、中上健次だの、いろいろ気になっているが、なかなか行けずにいる。
などと、旅心をそそられた。

● ライオンビアホール
http://www.ginzalion.jp/

池田さんが新幹線で帰る前にライオンで軽く食事した。
ここには何度か満席で諦めることが続いていたが、久しぶりに入った。突き当たりの壁画のすぐ前の席で、水盤に水が流れているのを眺めながら食べる。
生ビールにウーロン茶にローストビーフに大根と生ハムのサラダ。
この設計者、菅原栄蔵は旧駒沢大学図書館も設計している。そちらは秋の彼岸の墓参りのあとにでも寄ってみよう。

参考: