6月第1週
寄居の円筒分水から小川町和紙体験学習センターへ


● 隠れ河原のかりん糖
埼玉県深谷市小前田字本田509-2 tel. 048-584-7700
http://www.asahi-seika.co.jp/home/toppage.htm

荒川右岸にある埼玉県立川の博物館に通っていたころ、対岸(左岸)のやや下流地点に、新しい工場が建設された。あんなところに建物を作って、大洪水のときには大丈夫だろうか、何の工場だろうかと思っていたら、かりんとう工場だった。
おもしろそうな食材があれば何でもかりんとうにしてみようと試みる、とてもユニークな経営者が作っているらしい。
胡麻だの蜂蜜だのは、まだ凡人でも思い及びそうだが、きんぴらごぼう、わさび、牛乳に竹炭なんていうのもあり、その他まだまだ多種ある。
一度知ってからは、国道140号を走ると、必ず寄ってしまう。国道からは細い道を少し入って行かなくてはなのだが、ほとんどかりんとうだけの単一商品で、寄り道する気にならせる。たいしたものだと思う。

■ 比例円筒分水
埼玉県大里郡寄居町用土

国道140号と254号の分岐点には、ときの話題の人を巨大ハリボテにした交通安全目じるしが置かれていて、今は坂本龍馬が立っている。
254号に進み、よりい病院方向に左折して、クネクネ行って、牛小屋のそばに円筒分水がある。
桜の季節に来たときには、まだ水が流れていなかった。田植えどきに通水するというので、その今年の初日にきてみた。

ザッ、ザッと間歇的に水が吹き上げている。円筒からなだらかに流れるものと思っていたので意外だった。円筒の容量に比べて水の勢いが強いということだろうか。
表面に藻が浮いている。激しく水が流れているのに、藻はプカプカ揺れるばかりで流れていかないのも不思議だ。
2重の円筒から水があふれだしている

分水装置はかなり高い位置にある。ここからそれぞれの田に水が配られていく。

● 八千代うなぎ蒲焼店
埼玉県大里郡寄居町寄居576 tel. 048-581-1388

寄居市街に行き、正喜橋近くでうなぎを食べた。
うな重には松、竹、梅の3種があり、違いをたずねると、量だけの違いという。
いちばん軽いのを注文した。
それで思い出したのは、川の博物館にいたころ、一度ここで飲み会があった。
料理がいくつかでてから最後にうな重-と予想していたが、いきなり大きなうな重がでてきた。重からあふれるほど大きな蒲焼きに、ご飯もたっぷり。あとから料理がでるのか、かわってるなと思ってたら、あとはなしで、ひたすらうなぎをつつきながら飲むのだった。
あれは松のうな重だったわけだ。
うなぎ一本槍の剛直さはいいけれど、酒さえあればOKという飲んべえでもなければ、宴会にはちょっとなあと思ったものだった。
とはいえ、うなぎはさすがにおいしい。座敷で焼き上がるのを待っていると、すぐそばで焼いているので、そそる香りもたまらない。

■ 小川町和紙体験学習センター
埼玉県比企郡小川町大字小川226 tel. 0493-72-7262
http://park18.wakwak.com/~washitaiken/index.htm

小川町の旧カレー工場をアトリエに改修して制作しているアーティスト、伊東孝志さんが、今、和紙の施設の再生を手がけているというので伺った。
元・埼玉県製紙工場試験場が、県の機関の統合整理にともなって町に受け継がれ、和紙の体験学習の施設として1999年に新規開館した。
よくある観光的紙漉き体験ではなく、4日間受講すると、ここの手漉き学習室を利用して自分で和紙を作れるようになるという本格的なもの。

1936年に建った建物は、年を経た傷みを修復するために、内部を合成樹脂の床材や壁紙でおおわれていた。それがまた年を経てすさんだ状態になっていたのに伊東さんが目をとめ、再修復を始めた。
ここの再修復は、まず、重苦しく薄汚れて表面を覆っているものをはがすことで、たいへんな作業だったようだ。
元の壁と床を現したうえで、必要な手入れをして、元の建築の美をよみがえらせた。
さらに、捨てられていたスクラップの山の中から、梯子を見つけてきて、両端に立てて板を渡して展示棚にする。金属の棒に板をのせ、花を飾る。

カレー工場のアトリエでもそうだが、こういうほとんど魔術のような手際はとても見事なもので、旧建築のリノベーションを職業にしてもいいのではと思うほど。
とはいっても、カレー工場や製紙工場試験場の発見とか、スクラップの山から使える部材を拾い上げることとか、アーティストにとって、何を描くか、何を作るか、ということの前に、何を見るか、何を意識するか、そこがまず大切なのだと、教えられる気がする。

「明るくていい」だけの蛍光灯から、やはり伊東さんの選択で味のある照明具に交換された応接室で、和紙体験学習センターの職員、松本ふみ江さんにも加わってもらって話をきいた。 小川町和紙体験学習センターの、とてもいい雰囲気の室内

戦時中、ここは風船爆弾の紙を作る軍需工場になっていた。その風船爆弾用に作られた紙も見せていただいた。戦後、難をおそれてほとんど廃棄され、現物が残っているのはごくわずかだけという貴重なもの。
知識としてはそんな爆弾があったときいた覚えがあっても、現物にふれてみると、こういうものをアメリカに爆弾を運ぶ材料に使ったのかと感慨する。
建物じゅうの窓の下半分がくもりガラスなのは、兵器を作る作業が外から簡単に見えないように配慮されたためという。

伝えるべき歴史があり、和紙製造を教える今があり、それを支える人がいて、いいところを見せてもらった。

■ 古民家ギャラリーかぐや
埼玉県比企郡滑川町福田1560番地  tel.0493-63-0012
http://g-kaguya.com/

家への帰り道にギャラリーに寄る。
秋に展示を予定している陶芸家の野口春美さんがいらした。

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