2011年6月第4週 小畔川のほとり


東上線の霞ヶ関駅を降り、南側に出て、西に向かって線路にほぼ沿って歩くと、小畔川の堤防にぶつかる。堤防の上は公園になっていて、そこまで密な住宅地だったのに、すっと眺めが開ける。
川は小畔川で、越辺川(おっぺがわ)→入間川→荒川と合流していき、東京湾に注ぐ。


その近くにある重本恵津子さんのお宅に伺った。
重本さんは、尾崎喜八とその妻實子さんの生涯をそれぞれ本に書き、今はさいたまゴールドシアターの最高齢の女優さんでもある。
5月末には新国立劇場小劇場で広崎うらん&REVOの『REVO2011 ラヴィアンローズ ニッコリ笑って血を流そう』というダンス公演があり、重本さんほかさいたまゴールドシアターのメンバーも出演された。

僕は最終日に見に行ったのだが、そのとき売り切れで買えなかったパンフレットを見せていただいた。
ゴールドシアターの出演者一人一人の顔写真に添えて、「生きるとは?」という質問に対する答えが記されている。
重本さんは、簡潔に「夢とうつつの間をさまようこと」。
本の世界、演劇やダンスの世界に遊ぶ重本さんに、いかにもふさわしい。
公演前に撮影された写真がのっている。九十九里浜での撮影は、3.11の1週間前だったという。you tubeだったかで、そのプロモーション・ビデオも見たが、かっこよくできていた。
ダンス公演『ラヴィアンローズ』には、いくらかの台詞がはいるのだが、うらんさんから「言葉はあなたにまかせる」とまかされ、すべて重本さんが書いたとのことだった。
言葉に関わる重本さんに対するうらんさんの敬意がうかがわれる。

重本さんのほうでは、最近、恵比寿のM Event Space & Barで開催された三枝宏次振付の『00』(ゼロ・ゼロ)というダンス公演を見に行き、衝撃を受けたという。
「振り付けでこんなに変わるものか?と思った。"ダンスで思想を表現する"ということがある。このとき見たダンスを言葉にしたらどういう言葉になるか、取り組んでいる」と言う。
80代半ばを越えて、好奇心がキラキラしていて、挑戦し、冒険する。
すごいと思う。

いつか、川に関わる小説を構想していると話していた。今日、小畔川に近い住まいを見て、毎日川を近くに感じて暮らしていることが納得された。でも川の小説にとりかかる余裕は今はなさそうだ。

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