みかも山から群馬県立館林美術館


3 西ノ洞(ほら)でパスタを食べピアノソロを聞く

群馬県館林市大手町6−41
平日11:30-22:00 日・祝日12:00-21:30
水曜日定休
tel. 0276-75-1560
url http://www.d3.dion.ne.jp/~nnh/

館林市内の中心部、市役所から歩いて数分のところに、L'autre Maison西ノ洞(ロートルメゾンにしのほら)というコンサートホールがある。
外から一見したところは、田舎にときどきあるような大きな日本家屋。
でも前面に柱が10本あまり突きだしていて、その柱が描くゆるやかな弧の下はテラスで、テーブルと椅子が置かれ、食事ができるようになっている。
その弧の下の建物側の壁はガラスで、内部に明るい光を入れている。



内部は、円の1/4の舞台が吹き抜けになっていて、客席は一部3階まである。
テーブル、椅子、照明器具なども、すべてオリジナルのデザインで作ってある。
節がランダムに残っている古い梁材を再生し、素朴に仕上げてあるので、とても落ち着きがいい。座った尻になじむ椅子、ひじをついた肘になじむテーブル。
客席から舞台方向にある壁は大谷石を積み上げてあって、これも視線を柔らかにうけとめてくれる。
ツルツル、ピカピカの材料や仕上げではないので、どこを見ても視線が跳ね返ってこない。なごみ、憩い、リラックスした気分になる。

コンサートのないときは、ふつうのレストランで、ティールーム
休みの日にふらっと歩いていけるところにこんな店があったらいい。
L'autre Maisonはフランス語で、ほかの家という意味だが、あなたのもう1つの家のようにという思いがこめられているのだろうか。

秋の初めに秋吉敏子のピアノソロを聞いた。
ちょっと早めに着いてパスタを食べる。あとはワインを飲みながらゆっくりと語りをきき、ピアノを聴く。

正面の壁は大谷石積み。左右の壁に直接、出演者のサインが残されている。

冬になって菊池雅章トリオの演奏を聴いた。
菊池雅章のpiano、杉本智和のbase、本田珠也のdrums。
ソロとは違う迫力、のり、緊張感を楽しみ、アンコールは菊池のピアノだけで静かな曲を1曲。上等なデザートのような味わいで、涙ぐみそうになった。

終了後、演奏者たちが舞台の奥のどっかに消えてしまうのではなくて、カウンターでcolaなんか飲んでいる。さっきまでの息詰まるような表情とはすっかり変わって、にこにこしながらくつろいでいる。これも小さなホールのよいところ。


設計は、Team ZOOアトリエ・モビル+小林誠  ロ−ズマリ−・グラ−フ+鶴田稔
型枠ベニアをそのまま残した内壁には、これまで出演した演奏者たちのサインがいくつも残っている。
1985年に幼なじみ8人が共同して始めたというコンサートホールに、企画した人、設計した人、建築した人に加えて、演奏した人、聴いた人、ここで食事やコーヒーを楽しんだ人たちなど、たくさんの人の歴史・記憶が建物に積み重なっていく。

Team Zooは、いくつかの建築家集団のグループ。
象設計集団、アトリエモビル、 いるか設計集団など。
早稲田大学の出身者で、吉阪隆正(1917-1980)の影響を受けている。
吉阪隆正は、ル・コルビュジェの事務所に勤めたあと、ヴェニス・ビエンナーレ日本館(1956)、アテネ・フランセ(1960)、大学セミナーハウス(1963)などを設計した。熱心な登山家でもあり、アラスカのマッキンレーに登り、日本山岳会の役職を勤め、1961年には涸沢ヒュッテを設計している。


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