水沢山からハラミュージアムアーク・渋川市美術館


 ハラミュージアムアーク −牧場に美術館


群馬県渋川市金井2844 伊香保グリーン牧場内
tel.0279−24−6585
http://www.haramuseum.or.jp/generalTop.html

設計:磯崎新アトリエ 1988(カフェは1991)


展示棟が3棟、独立してある。
正方形で、1室だけの棟が1。
長方形で3室ある棟が2。
ほかに事務棟、トイレ、ミュージアム・ショップ+カフェが、それぞれ別棟になっている。

ふつうの美術館では、それらがひとまとめになった建物の入口を入り、チケットを買い、ロッカーがあったり、パンフレットがあれこれ置いてあったり、ミュージアム・ショップをチラと眺めて、帰りに寄ってみようと考えたりして、その先に、作品を置いた部屋がある。作品までが遠い。
ここでも、順番としてはそのままなのだが、作品は、それを置くための最低限の床と壁と天井に囲まれた独立棟にあるので、ダイレクトに作品に至るという印象がある。
そして、作品がよく見える。
すぐそこにある。
この、すっきりと、直接に作品と向き合える感覚は、ほかの美術館ではえがたいものだ。
それに木の床。
自然光をいれるトップライトの天井。(ただし、作品によっては、光を遮ることもできる。)
柱がでこぼこあらわれていない、フラットな壁。
たて、横、高さのバランス感もとてもいい。





外に出ると、昔の列車のような黒い展示棟から、傾斜した扇形に緑の芝生が広がっている。
その隅に、ウォーホルの赤いスープ缶があったり(「キャンベルズ・トマト・スープ」1981=写真上)、宮脇愛子の鉄線が弧を描いていたり(「うつろひ’89カシオペア」1989)。



渋川グリーン牧場と一体で、牧場に入れば美術館にも入館できる。あるいは、美術館に入館すれば、牧場の散策も楽しめる。
牧場にも彫刻作品があって、写真は守屋行彬「Pal−Pal」(1988)。


この日は、原美術館のコレクション展を開催中だった。
正方形の部屋では、杉本博司(1948- )の海の写真や、荒木経惟(1940- )のまつ毛の写真や、メイプルソープ(1946-1989)の花の写真が壁に置かれ、中央に倉俣史朗(1934-1991)の家具、という具合。
見たことがあるものばかりだが、ため息がでてしまう。決まりすぎ、という感じがするくらい。
また別の棟では、1室全部が草間弥生(1929- )の水玉で埋め尽くされ、また別の部屋では、やはり1室全部を使って、束芋(たばいも1975- )の、芝居のセット+コンピュータのような作品が組み立てられている。
こういう使い方もしやすくできている。

本館にあたる東京・品川の原美術館は邸宅の転用だが、こちらは専用に作られた美術館。
同じ作品が、あちらとこちらで、どう違って見えるか比べてみるのも楽しい。
そして、どちらも美術館の建築を囲む庭/自然が、美術館を引き立てている。
一度行ってみて、いいなと思う美術館は少なくないけれど、何度も行きたくなる美術館はそうはない。
ここには何度も来て、そのたび充実した時間を過ごした。

カフェの前から草の斜面が下っていて、下りきった先には赤城山が広い裾野をしたがえている雄大な眺めが、ここでの楽しみの1つだが、この日はあいにく霧に隠れていた。
ここにいるそう長くない時間にも、日が射し、雨が降り、よく天候が変わる日だった。







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