樽前山からアルテピアッツァ美唄



 3  モエレ沼公園 −イサム・ノグチ


札幌市東区丘珠町605
地下鉄北34条駅から市バス「中野」下車
問合せ:011-211-2525 (緑化推進部造園課)
http://www.sapporo-park.or.jp/index.html


1988年に札幌市はイサム・ノグチに公園の設計を依頼した。
3月に初めて北海道を訪れたイサム・ノグチは、用地候補の芸術の森、芸術大学用地、モエレ沼のなかから、モエレ沼に注目した。
モエレ沼は、豊平川が蛇行してできた三日月湖で、内側はゴミの埋立地として使われ、その頃もトラックがごみを運び込み続けていた。
都市計画決定面積は188.8ha。
数回の札幌訪問で11月にはモエレ沼公園マスタープランができあがったが、その年の暮れ、12月30日にイサム・ノグチはニューヨークで死去した。
実現が危ぶまれたが、イサム・ノグチ財団の監修のもとで、日本人の建築家グループのアーキテクトファイブが実施設計を継続して一部完成し、公開している。
今も建設が続き、完成予定は2004年。

*アーキテクトファイブは、丹下健三・都市・建築設計研究所から独立した4人の建築家が共同で設立した建築事務所。http://www.architect5.co.jp/
ミュージアムでは、
セキグチ・ド−ルガ−デン (静岡・伊東市) tel. 0557-54-5515
伊豆テディベアミュージアム(静岡・伊東市) tel. 0557-54-5001
東京・池袋のセゾン美術館の改修(閉館されて今はない)



安田侃も、イサム・ノグチも、ダニ・カラヴァンも、ふつうには彫刻家と称されるが、アルテピアッツァ美唄や、モエレ沼公園や、札幌芸術の森の「隠された森への道」などを見ると、彫刻家というのはいかにも窮屈で、空間を作る芸術家というのがあたっているように思える。

安田侃が、ポンピドー・センターや関西国際空港の設計で知られるレンゾ・ピアノと共同したように、イサム・ノグチも建築家とのつながりは多彩で、バックミンスター・フラー、丹下健三、磯崎新、谷口吉生などと交流している。

芸術というのは、その場所のもつオリジナリティを見つけ出し、それを活かし、より大きく強調することであって、どの公園もそれぞれに際だった特徴があってこそ面白いし、やがて公園は私の手を離れて皆のものになる。
(STVビデオ「彫刻家イサム・ノグチ」)
 


池で子どもたちが水遊びをしている。テントのなかに寝そべって憩う若い男女。
ゆるい傾斜の山、プレイマウンテンを上がると360゜の展望が開ける。
高さは約30メートル。
安田侃がアルテピアッツァ美唄の地面を形成したように、この山も平らなところに土を運びこんで築かれた。
公園内に池や森やスポーツ施設が点在し、その周りを取り囲む市街がぼんやりとかすみがかっているのを見下ろす。高いところにいて風に吹かれながら景色を眺めていると、はるかな心持ちになって気分がいい。
草の斜面を上がってから、反対側に降りると、そちらは瀬戸内産の御影石を約2300トン使った石段になっていて、その対照に驚かされる。
 


敷地の一角に、休憩所や大会議室やギャラリーやレストランなどが入るピラミッドを建築中だった。
もう1つ作っている途中の「モエレ山」は、標高50メートルにする計画で、外周には、らせん形に道がついていて、ブリューゲルの絵のバベルの塔のようである。
 


遊歩道を歩いたり、芝生を横切ったりして、気ままに歩いていると、山や、斜面や、高低差をつかって、立体的に配置されているのがわかる。スポーツ用グランドや、池や、広場や、森など、単にあれこれの用途を平面の図面のうえで割り付けただけではない造形の意志が感じられる。しかもその意志が押しつけがましく窮屈にならないで、のびやかな印象を生み出している。
高いところから広く範囲を見下ろすことができる山というものの存在理由にも思い至る。
大地の表面を彫刻したといえるかもしれない。


参考:
[ 安芸小富士から平和記念資料館・ひろしま美術館 平和大橋/イサム・ノグチ]

イサム・ノグチ庭園美術館
(香川県木田郡牟礼町 元アトリエ兼住居)
http://www.isamunoguchi.or.jp/gamen/home.htm

Isamu Noguchi Garden Museum (アメリカ)
=写真右

http://www.noguchi.org/
 


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