雨引山から岩瀬石彫展覧館



 1  雨引山        
 2  岩瀬石彫展覧館  
 3  稲田石        


雨引山(あまびきさん 409m)・御嶽山(おんたけさん 230m)は、南北に細長く連なる筑波山系の北の端にある。
雨引観音の駐車場に車を置き、リンリンロード(旧筑波線の廃線跡が自転車道に整備されている)をJR水戸線の岩瀬駅まで北に向かって歩く。
そこで南向きに折り返して山道に入り、御嶽山・雨引山を通って雨引観音に戻るコースを歩いた。




 1  雨引山        


雨引観音駐車場 0:00

かなり広い駐車場がある。土曜日だが、まだこの時間には、車はほんの数台。
西に向かって山を降り、田園地帯にでる。


リンリンロード 0:30

筑波鉄道の筑波線は、常磐線土浦駅と水戸線岩瀬駅を結ぶ40.1Kmで、1918年に開業したが、1987年3月31日、日本国有鉄道(国鉄)の消滅と同じ日に廃止された。
今は全線が自転車道になっている。

右に見える雨引山−御嶽山の山並み(というほど高いものではないが)に並行して北に歩いて行く。
ほとんど直線。たまにゆるいカーブがある程度。やはり自転車向きで、歩くにはやや単調。とりとめないことを思いつつ、歩いていく。

・・・
こんな廃線跡が全国にできてるのかもしれない。
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低い隆起に挟まれて細長い平地を道が通っていて、福井の一乗谷に似ている。
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いつか埼玉県東松山のスリーデーマーチに参加したことがあった。3コースあるうち、いちばん長いコースでもなく、歩行時間もたいしたことはなかったのに、腰に痛みがきた。山道をもっと長く歩いても腰が痛むなんてことはなかった。平地の舗装路を歩くのはつらいものだ、ということがわかって、以後、参加していない。
今日もそんなことになるとイヤだな。
・・・

振り返ると筑波山が青く、空気遠近法になって見えている。
1月末で、天気情報では大寒波がくるようなことをいってたのだが、風がなくて穏やかでたすかった。早足で歩いていると暖まってきて、寒いどころではない。
途中、北関東自動車道と交差する工事場所で迂回する。
道に木の枝がかぶさっているところでは、路面が凍結していたが、まもなく水戸線の線路上の架線が見えて、岩瀬駅に着く。
リンリンロードを歩いたのはおよそ4km。















岩瀬駅 1:15

駅の南側はリンリンロードの岩瀬休憩所に整備されていて、駐車場やトイレやベンチがあり、広い芝生がある。もとは筑波線のホームと線路があったところなのだろう。

のぼって行く道に入る前に、体を押し上げていくエネルギーを補給するために、ベンチで軽食をとる。
ふつうなら山道をまず上がって、下り道を楽に帰ってくるところだが、今日は逆。
なんだか気持ちがチグハグ。
行程の後半が上りか...という感じ。

散歩らしい地元の男の人に話しかけられる。
どこから来た?
どこへ行く?
雨引観音ならこっちを行けばいいよ(と、リンリンロードか、それに並行している車道の方を示される)。
山道?(そんな道を行く気が知れん!という顔をされる。)

また同じ年くらいの、同じような感じの男が現れる。
そっくり同じ内容の会話を繰り返すことになり、ますますこれから山道に向かう気分が重くなる。

線路脇の細い道を少し行って、右に折れて、山に向かう。
しばらくは畑の中の舗装路が続く。


関東ふれあいの道 入口 1:25

「関東ふれあいの道」の標識があって、山道に入る。
杉林の下の道は暗い。


不動の滝 1:30

滝というほどたいそうなものではなくて、竹の樋から水が落ちている水飲み場。
突然、イギリスのグライズデールの森にあるゴールズワージーの作品を思い出した。薄暗い森の中に、木の工作物のような作品があった。








御嶽山 1:45

筑波山から北に長くのびる山の連なりは、JR水戸線岩瀬駅あたりの手前で終わるが、その最後の小ピークが御嶽山(おんたけさん 230m)で、好展望がある。
(岩瀬駅から南に向かうと、御嶽山、雨引山、加波山、筑波山と続いている。)
あずまやから眺めると、岩瀬駅と付近の集落、その外のひろい田園地帯がひろがっている。向こう側には岩を採取するために山腹を大きくえぐられている富谷山(とみやさん)がある。
駅からここまで登ってきた道も確認できる。風が吹いて、少し寒い。 
あずまやには、大量のまきを積んであるが、何か季節の行事でもあって使うのだろうか。

採石場のフェンスが左に現れる。いったん谷へ急降下し、また急な上りになる。

雨引山への最後の上りらしいところで長い階段が現れた。
体が熱くなり、息が切れる。
不意にレッド・ツェッペリンLed Zeppelinの「天国への階段」Stairway to Heavenという曲を思い出した。
もしかしてその階段は恩寵ではなく、絶望かもしれないと考えた。
この世から天国はそう近くにはないだろう。寿命が尽きて、やれやれと人生が終わって、さて天国に行くのに、はるかな長い階段を上がるのは、そうとうしんどいことではないだろうか。
「天国への階段」はキリスト教国の発想のような気がするけれど、日本の仏教では、阿弥陀如来が菩薩を引き連れ、雲に乗って、さっとお迎えにきてくれる「早来迎(はやらいごう)」というのがある。そっちのほうがいいなと思う。

(帰ってからヒマな計算をしてみた。
エンパイア・ステート・ビルは高さ381m(尖塔までだと443.2m)。1575段の階段があって、1段の高さは24cm。
東京タワーは333mだが、250mにある大展望台まで590段で、すると1段の高さが42cmになってしまう。高すぎるようだが本当だろうか。
ふつうに楽に上がり降りできるためには16cm以下がいいとされているようだ。
わが家の階段は18cmで、手頃に感じている。
天国が月より遠いか近いかわからないが、たとえばとして月までが38万km。
段差18cmの階段だとおよそ21億段。
1秒に1段、休みなく上がったとして、66年かかる。
ほとんど亡くなるまでの一生分をもう一度繰り返すと着くようなものか。)








雨引山 2:20

409mの山頂に着く。
木立の中だが、西方向の展望が開けている。
ついさっき歩いた道が見える−雨引観音から降りて、平地にでて、リンリンロードを北に向かった道。
後半が山登りで、へんな歩き方だと思ったが、このコースのとり方も失敗ではなかった。
初めての都市に行って、あちこち歩き回って、最後に高い塔にのぼると、歩いた道筋を振り返ることになり、味わい深い−ということがある。
かつてパリで貧乏旅行をして、最後にノートルダムの塔に上がったときとか。
ふつうは登りでは先が見えないのだが、振り返り確認しながら歩くのも悪くない。

ゆるやかに下って雨引観音に戻った。





雨引観音 2:55

ふつうには雨引観音といわれているが、正式には雨引山楽法寺。
1300年ほど前に中国からきた法輪独守が開いた。
多宝塔は珍しい2重の塔(右の写真)。

雨引山という山名に心ひかれるが、822年の干ばつのとき、雨降りを祈願すると7日7夜降り続いたことから、それまでの天彦山(あまびこさん)から改名された。

板東24番の札所で、朝、出発した頃には閑散としていたのに、大勢の人でにぎわっている。今は車で簡単に着いてしまうが、かつては参詣の人のための旅館街がふもとにできていたほどだという。

山門から長い石段を上がりきった先に、樹齢1000年をこえるといわれる椎の木がある。
たつまきのような、すばらしい生命力、勢いを感じさせる木である。
1472年の大火のとき、本尊の延命観世音菩薩はみずから虚空高く飛んでこの椎の頂に難を避けたという故事が伝わっていて、寺では今でも正月の飾りに松ではなく椎をつかっているという。
(参考:『雨引観音』岡村安久 筑波書林 1984)


* 経過時間は歩いた時間のみで、休憩時間などを含みません。


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