雨引山から岩瀬石彫展覧館

 3  稲田石


岩瀬のあたりは石材産地で、御嶽山から眺めると、岩瀬の市街のうしろにも、富谷山(とみやさん 365m)という、石材採掘のために山体がえぐられている山がひかえている。
中心は、岩瀬の東、笠間市稲田を中心に東西8キロ、南北6キロにわたる「石切山脈」とよばれる一帯で、稲田石とよばれる。

稲田石は、花崗岩で、稲田白御影石(いなだしろみかげ)といわれるように、白く、明るい。

そして硬くもある。
鉱物の硬さの目安にドイツのモース(Mhos)が決めた硬度計があり、柔らかいほうから順に、
硬度1-滑石
硬度2-石膏
硬度3-方解石
硬度4-蛍(ほたる)石
硬度5-りん灰石
硬度6-正長石
硬度7-石英(水晶)
硬度8-黄玉(トパーズ)
硬度9-鋼玉(コランダム・ルビー)
硬度10-ダイヤモンド
となっていて、建物の床や壁に使われる大理石は主に硬度3の方解石(CaCo3)から成り、比較的やわらかい。
これに対して花崗岩は90%以上が石英、長石より構成されているため、大理石に比べてはるかに硬い。

稲田付近の花崗岩は、標高200〜300mのなだらかな山を形成しているので、採掘しやすく、国内で石材を安定供給できる貴重な地域になっている。
古くは日本橋(1911年妻木頼黄-つまきよりなか-意匠設計)の橋げた、
新しいほうでは最高裁判所(1974年岡田新一設計事務所)の白い外壁、
多くの神社境内や墓石にも使われている。
かつて都電の敷石にも1/3は稲田石が使われ、多くの都電が廃線になったあとは、銀座の大通りの舗道などに再利用されている。



■ 水戸芸術館
http://www.arttowermito.or.jp/atm-j.html
磯崎新アトリエ 1990

芝生の広場の正面で大量の水をうけとめているのが稲田石。黒い不純物を含んでいるので、ふつうのより黒ずんでいる。
水戸の近くの石切り場にあった原石をそのまま使ったという。


■ 茨城県庁舎
http://www.pref.ibaraki.jp/
MHS松田平田 茨城県総務部 1999

最近の大型ビルは透明を基調にして、どこも明るく、軽い、共通した印象がある。
ここでは特産の石を外壁や床に多用し、さすがにどっしりした重量感があって、ひと味違う気がする。しかも稲田石特有の白さ、明るさのために、重くても暗くなっていない。


□ 茨城県立図書館(旧茨城県議会議事堂)
http://www.lib.pref.ibaraki.jp/home/
茨城県土木部営繕課 日建設計 2002

これは余談だが、県庁が水戸の旧市街から郊外に移転するのにあわせて、議会も移り、旧議会は県立図書館になった。
外見は単純な箱だが、内部の旧議事堂は「視聴覚ホール兼閲覧室」に変身した。
視聴覚ホールとして使わないときは、ふつうの閲覧室で、もと議員が座っていた布カバーつきのたいそうな椅子に学生たちが座って勉強していたりして、異様におもしろい。



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