箱根2 : 金時山から「星の王子さまミュージアム」+ポーラ美術館


 星の王子さまミュージアム 


神奈川県足柄下郡箱根町仙石原909
tel.0460−6−3700
http://www.lepetitprince.co.jp/


『星の王子さま』は1943年に発表された。もう60年以上前。
世界102ヵ国語に翻訳され、累計発行部数は2000万部。
日本では1953年に岩波書店から翻訳が出版されて以後、国内での総発行部数は550万部を超える−というのだが、すると世界の1/4が日本で発行されていることになる。
サン=テグジュペリ財団公認のミュージアムが日本の箱根に1999年6月に開館した。

入口の建物を抜けると、フランスの街路にでた。
へいで囲い、周囲から独立区域にして、すっかり異国の街にいるような気分にしてくれる−というのは、作りものにしても楽しい。



ミュージアムの展示はサン・テグジュペリ(1900−1944)の生涯をたどっている。
子どものころ過ごした城館の部屋、モロッコの飛行基地のオフィス、飛行機の貨物室の内部、など、人生の場面ごとの空間が再現されている。
写真や文字だけの解説が並んでるのと違って、その人が生きた状景に近づいた感じがする。

ジョン・レノン・ミュージアムも同じように作ってあったことを思い出した。
ハンブルクのコンサート会場や、オノ・ヨーコの個展会場や、ニューヨークの通りなど。
−というミュージアムの展示のことから、この2人の対比がなかなか面白いことに気がついた。
サン=テグジュペリはフランスから、ジョン・レノン(1940−1980)はイギリスから、ニューヨークに行ったこと。
妻(コンスエロ・スンシン、オノ・ヨーコ)との独特な関係。
サン=テグジュペリはパリを占領する対ドイツをめぐる立場での、レノンは1970年代の反戦運動での、社会との緊張した関係。
ともに衝撃的な死。一方はコルシカ島から偵察飛行に飛び立って消息を断った。
もう一方は住居の前で銃で撃たれる。
そして僕にとってとりわけ心に残る2つの名作、『星の王子さま』(1943)と『イマジン』(1971)。(そういうのを大江健三郎が「心に錘(おもり)のようにとどまる」といっているような)

『星の王子さま』からは、作家は、もの静かな人という印象を受ける。初めて読んだのはもうずいぶん前のことだが、読んでいるときの、不思議に静かな、哀しいような、いたみを覚えるような心持ちになったことを、未だに思い出すことができる。
じつは対独戦線の偵察機に、上限年齢を10歳もこえてるのに志願して乗るくらいに、行動する人だった。
この点でもジョン・レノンと同様、行動する人が心の奥までしみとおるような響きをもった言葉・音楽を残してくれたことになる。


→ ジョン・レノン・ミュージアム



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