飯縄山から池田満寿夫美術館


 長野県信濃美術館・東山魁夷館  


長野市箱清水1−4−4(城山公園内)
tel. 026−232−0052
http://www.npsam.com/

(写真左は長野県信濃美術館の正面。
 右が東山魁夷館)



信越放送が15周年を契機に長野に美術館をつくろうと提唱して建てられた美術館で、正面入口前に、寄付を寄せた企業名が刻まれている。1966年財団法人として開館、1969年に県立に移管、1990年に東山魁夷館を増築。

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「アルプスに魅せられた画家たち」展
1999.7/20−8/22
この美術館ならではの展覧会で楽しめた。
山をかく人、山をかいた絵はとても多いが、感動できる作品は少ない。写実的に描いたものは、たいてい実際の山の大きさ、厚さ、迫力に負けている。物量ではもともと勝負にならないにしても、朝のさわやかな空気、新緑の葉の淡い生命力の芽生え、小さな花や実の色鮮やかな輝き、といった繊細さにもかなわない。かえって抽象に近づいてしまったほうが面白い作品が多いくらい。
この展覧会は、さすがと言ってしまえばそれまでだが、力のある人たちの作品で、興醒めするようなことはなかった。

林和緒「山麓の教会」1985。木々に囲まれた教会の後ろに迫る白い山がそそり立つ感じで迫力がある。
曽宮一念「釜無入笠」1957。この人はキュビスム調になる。
奥瀬英三「雲と甲斐駒」1970など2点。妙な味がある人。
小堀進「山」1961。朝か夕か、太陽は山の向こうにあって、山並みは青い。一筋だけ雲が白く流れている。細い水平な雲を眼が左に追い、右に追い、それだけを繰り返していても飽きることがない。

吉田穂高が17点あった。どれも好き。
吉田の山の絵の特徴は、きっかり個別の山をかきわけていること。
他の作家では、極端なことをいえば、八ヶ岳を描いた作品を北アルプスといってしまってもとくに差し支えなさそうで、明らかにまずいのは富士山くらい。
だが、吉田の絵は、まさにタイトルどおりの山でしかありえない正確さで描かれる。写真のない時代であれば、地質や地理の資料になると思えるくらいに、山の形はもちろん、どの斜面に植物が生え、どの尾根はどういう岩で、どの斜面は崩れ、どの谷に雪が残っているか、精確に表現している。紡錘形の紙を貼り合わせて地球儀を作るように、実際どおりの細部を組み合わせて全体の山のボリュームにしていく。
しかも山の塊としての大きさ、高度感、遙かに遠くを見晴らす距離感なども強く感じさせる。
中でも2点組の「有明山」は、見ているだけで足下がすっと寒くなるような高度感があった。(2点組が2つあって、どこかの屋敷の柱をはさんで置くように初めから考えて描かれたものとのこと)

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東山魁夷館の設計は谷口吉生
既存の信濃美術館の増築なので、信濃美術館の特徴ある意匠とぶつからないように単純な形にし、また美術館としての大きなボリュ−ム感を軽減するためにアルミの押出し材を使ったという。
ガラスの壁の向こうの、水を張った中庭が心地よい。

→ [ 谷口建築設計研究所が設計したmuseum ]



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