飯縄山から池田満寿夫美術館


 池田満寿夫美術館 


長野市松代町殿町城跡 
tel. 026−278−1722
http://www.ikedamasuo-museum.jp/


池田満寿夫 1934−1997.3.8 63歳で急死。
美術館は直後の1997.4.18開館。開館時のチラシを見ると、「開館特別展 追悼 池田満寿夫展 初期から絶作まで」となっている。準備中は当然違うタイトルだったろう。

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開館展は見そこねて、開館から2年後にはじめて行った。
和菓子の店に併設された美術館なので、失礼なことだが、和菓子屋のご主人の趣味のコレクションがそこそこに飾ってあるのかと思っていたのだが、半端なコレクションではなかった。

池田は高校生の頃の1951年、毎日新聞社主催の第1回全日本学生油絵コンク−ルでアトリエ賞を受賞するが、その前年の作 「橋のある風景」 から展示が始まる。松本竣介 「Y市の橋」 に触発された作品で、長野市内の通称 「七瀬の陸橋」 を描いている。
盛んな版画の制作。「バラ色の中」 1981 リトグラフは、息がつまるほど濃密なエロチックな気分があふれる。
渋澤龍彦の訃報を受け取った日に制作を始めた 「天女乱舞A」 1987 は、西陣織りの打ち掛けによる大画面のコラージュで、遙かな遠いところ、高いところへ舞い上がろうとする感情が溢れている。
そして自身の絶作となる 「美貌の青空 Good Looking Blue Sky」 900*450 1997 合板、カンヴァス、セラミック、アクリル絵具。タイトルは土方巽のことばによる。生命力溢れる色を描いてきた人の、白と青のみで構成する連作で、青の位置が作品ごとにリズミカルに変化していく。

ひととおり見終えるとたっぷりとした充足感があった。山を歩いて、他にも美術館・博物館を見て夕方が近い頃に入ったのだが、疲れてしまうほど大きくはなく、しかも十分な質・量があり、まさに過不足ないという印象であった。
ミュージアム・ショップも手頃な大きさと品揃え。隣の店で買って帰った和菓子もおいしかったから、レストランもきっといい味だろうし、とても満足できる美術館であった。

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設計は竹中工務店の藤田純也。ただ造形的目新しさを追うのではなく、松代城の記憶を記号的に表現し、中庭には前からあった柿の木を残している。
作品を見ていく動線に無理がなく、自然に見てゆける。途中で中庭を眺められるのも、息が抜けて心地よい。

[ 竹中工務店が設計したmuseum ]



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