駒ケ岳から谷村美術館



近くの美術館 2 発電所美術館+富山県まちのかおづくりプロジェクト


富山県下新川郡入善町下山364−1
tel.fax.0765−78−0621

http://www.town.nyuzen.toyama.jp/nizayama/





正式には、「入善町 下山芸術の森 発電所美術館」。下山はにざやまと読む。現代美術の面白そうな企画をよくやっていて、いつか行ってみたいと思っていた美術館。
名前からして、山の奥深く、木々に囲まれて薄暗いようなところの、急斜面にあると予想していた。
ところが、何でもない平坦なところにある百河豚美術館で、車だったらすぐ近くだと教えられる。実際、田んぼの間の道を数回折れ曲がって走ると、田園地帯にいきなりそれらしい塔が見えてきた。ロケーションからして面白い。





美術館だけでなく、アトリエ宿泊棟があり、制作のための環境も整っていて、下山芸術の森と名づけている。
その建物群のあるところから急な階段を下ると発電所美術館がある。
入善町には立山連峰の伏流水が湧き出るところがたくさんあるというが、ここは川が作った段丘だろうか。上の田んぼ面と、下の田んぼ面では、かなりの高低差があり、その間を流れ落ちる川のエネルギーで水力発電をしているようだ。
北陸電力が新しい発電所を作る計画を立てたときに、当時の町長が、既存の発電所施設を壊さずに美術館などの文化事業に転用することを発案したという。




しかも、屋根と壁だけ残して展示施設にすっかり変えてしまわず、機器類も残してあって、博物館のようでもある。水が流れ落ちた2本の導水管も、壁に大きな穴として残っている。のぞきこむと急角度で上方にのびていて、激しい水の流れが想像されてとてもおもしろい。
今までの展示の記録を見ると、アーティストたちがこの空間に刺激され、楽しんで制作したことがうかがわれる。





この区域への入り口を示すゲートと、階段の屋根とは、「富山県まちのかおづくりプロジェクト」によるもので、エリアス・トーレス&マルチネス・ラペーニャの設計。
この事業は1990年から富山県の中沖知事の発案で開始された。コミッショナーは建築家磯崎新、コーディネーターは磯崎新アトリエの藤江秀一
県内の市町村が事業主体となり、外国から招待を受けた建築家が、地元の人たちと協力して、それぞれの街に「まちのかお」となるような小さな建築物を作る。

磯崎新氏が「まちのかお」プログラムのコンセプトを説明したときに、日本の伝統である「客」(まれびと)の意味合いについて述べたことにもよる。それは、よそものが街にきて、彼の眼と判断から人びとに客観性をもって自己や自分たちの街を見る術を与える。どの国や場所に行っても、その地元の人びとがあまりにも精通しているがゆえに鈍感な部分に、来訪者はしばしばその場所がもつ独特の「ニュアンス」に気づく、ということである。
(感性の試行 トム・ヘネガン 高橋知之訳 新建築1993年11月)

外国人建築家の基本構想を、地元の建築家が実施設計することで、地元の建築家に国際的な仕事の経験をもたらす意義もあった。

「富山県まちのかおづくりプロジェクト」については、
「新建築」 93年1月、11月、95年12月、99年11月 「GA」 93年秋を参照。




(ひとわたり見終えたあと、レストランでコーヒーを注文してひと休み。元は水量を調節する管理棟だったれんが造りの建物をうまく改造してあり、シックで居心地いい。窓から午後の明るい日差しがさしこんでくる。
前の日に糸魚川に来て谷村美術館を見た。今日は駒ケ岳に登ったあと、フォッサマグナパークに寄り、百河豚美術館発電所美術館も見て、ほぼ目的は達成した。遠い距離をきたかいがあって、素晴らしいものをたくさん見た満足感がある。
今日帰ってしまってもいい。金沢には何度か行ったけれど、富山は通り過ぎるばかりで行ったことがないので、足を延ばそうか。台風が近づいているのも気になる。
コーヒーを飲みながら考えが2転3転したあと、結局、富山に向かった。富山に着くと雨が降り、暗くもなったなかでホテルを探すことになった。)


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