弥山・出雲大社から手銭記念館・松江北堀美術館
+菊竹清訓・高松伸その他の島根のミュージアム



 6  島根の高松伸のミュージアム 
6-3    くにびきメッセ/玉造(たまつくり)温泉ゆ〜ゆ   


■ くにびきメッセ(島根県立産業交流会館)

島根県松江市学園南1丁目2番1号 tel.0852-32-1903
http://www.joho-shimane.or.jp/cc/messe/
高松伸建築設計事務所 1993年


松江駅から近い。
大橋川にかかるくにびき大橋を渡っていくと右手に見えてくる。
しばらく前に、この建築のCG映像を見たことがある。
視点が、現実にはありえない動きでなめらかに浮遊していく。下の階から上の階へ、中から外へ、また外から中へというふうに。
魂のようだ−とか、こんなふうに飛び回れたら楽しい−とか思いながら、見とれたものだった。

長大な立方体の1階に展示場がある。
2階から上は、東棟と西棟のオフィスに分かれていて、中央が吹き抜けの大空間。透明なガラス壁の内側に円錐と、球と、2棟を結ぶ空中廊下があって、ダイナミックな構成にしてある。
それで、この建築のいちばん特徴ある、透明な空間+幾何立体を眺めるには、外の土手か、さらに対岸からながめるのがいちばんいい。

ところが、駅からの道路や駐車場から正面入口(上の写真の左側)を入り、1階の大展示場に直行するのが、主要な人の流れになるはずだが、すると2階から上にある、いちばんおいしい大空間は、中では味わえない。
上はオフィスだから、とくに用があるとか、これを見ようと思って上がらなければ、気がつかないまま帰ってしまうことになる。
たまたまメッセのイベントに来た人にも、建築のすばらしさが伝わるようなつくりだとよかったと思う。

「山水建築」とでも呼んでしまいたい誘惑に駆られたりもした。そのようなアレゴリカルな仕掛けを、巨体の中央に穿(うが)った風穴に集中した。その貫通口に幾何学的立体を散りばめる。
 その手続きに作法は無い。ただただ情景的であること。巨大なヴォリュームを射抜く視線が、転倒した金属の庭園に絡み、たまさか情感めいたものによって撓(たわ)めばしめたものだ。無粋な建築が情景として生きられもする。
(夢のまにまに夢を見る 高松伸 TOTO出版 2002)


外からの視線を意識した造形に集中しすぎた感じがする。
円錐の底部は茶室になっているが、吹き抜け部全体の迫力に比べて、茶室は貧相な印象を受ける。もともと茶室のスケールは小さいものだけれど、小さくても豊かな空間は作れるはずだと思う。
メテオプラザもマリンプラザ21(みなとさかい交流館) もそうだが、外から眺めるだけでなく、中に入り、くるまれても何かしらの感動があるような建築だといいのに惜しい。

(これはミュージアムではないが、展示施設があるということで)













■ 玉造(たまつくり)温泉ゆ〜ゆ

島根県松江市玉湯町玉造255番地
tel.0852-62-1000
高松伸建築設計事務所 1996年


玉造温泉は、8世紀にまとめられた『出雲国風土記』に、すでに記されている、古くから知られた温泉。

即ち、川の辺に湯出づ。出湯の在るところ、海陸を兼ねたり。仍(よ)りて、男も女も、老いたるも少きも、或は道路に駱駅(つらな)り、或は海中を州に沿ひて、日に集ひて市を成し、繽紛(みだれまが)ひて燕楽(うたげ)す。
(意宇(おう)郡忌部神戸(いんべのかんべ)の条)


海陸を兼ねるというのは、海(=宍道湖)にも、山にも近いということなのだろう。

道が玉湯川に沿った低い位置にあり、史跡公園がやや高い位置にあり、その間の斜面に建っている。
円形からいくつかに切り分けたケーキの1つが、どんぶりに食い込んでいる。
あるいはケーキの一片に、どんぶりが降ってきて乗ってしまったような形。
どんぶりの中に立てたガラスの円柱の底が温泉。どんぶりの内側はひな段の庭になっている。円柱の外側、ひな壇との間に露天風呂もある。



ケーキの部分に、入口ロビー、売店、レストランなどがある。
安来節を上演する小舞台があり、その天井がどんぶりの底(の外側)になる。

なぜこの由緒ある温泉にこういう建築なのだろうと不思議だが、日帰り入浴施設として型破りなことは確か。のんびりと湯につかって、安来節を見て聞いて、あっけらかんと楽しんでるのも悪くないかもしれない。
メテオにも、マリンプラザにも入浴施設があるが、その2つに比べると、こちらは明るく開けた感じ。
日曜には6時から朝風呂もやっていて、親しまれているようだ。
「ゆったりプラン」は1000円で、入浴料と昼食がセットになっている。手ごろで楽しめた。

{これはミュージアムでも展示施設でもないが、それらを見ての一休みということで}




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