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 7  出雲 ・ 松江の旅
7-4    黄泉比良坂 倉橋由美子/青木繁  


出雲の神話では、イザナミ神とイザナキ神が国生みをするが、最後に火の神カグツチを生んだため、イザナミ神はやけどをして死んでしまう。
イザナキ神は怒ってカグツチ神を斬り殺し、なき妻イザナミ神を忘れかねて黄泉の国まで追っていくが、醜い姿に変わっているのに驚き、逃げ帰ろうとする。イザナミ神が恨んで追いかけてきて、追いついたのが黄泉比良坂(よもつひらさか)で、つまり黄泉比良坂は、この世とあの世を結ぶ坂のこと。

『日本書紀』コトドワタシの段に「謂はゆる黄泉比良坂は、今、出雲の国伊賦夜(いふや)坂と謂ふ」とある。
島根県東部の八束郡東出雲町に揖屋(いや)という地名があり、揖屋神社ではイザナミ神を祭っている。この東に黄泉比良坂と伝えられるところがある。(そこまでは行けなかった。)

また、『出雲国風土記』出雲郡宇賀郷の条では



即ち、北の海辺に磯あり。脳(なづき)の磯と名づく。高さ一丈ばかりなり。上に松生ひ、芸(しげ)りて磯に至る。里人の朝夕に往来(ゆきかよ)へるが如く、又、木の枝は人のよじ引けるが如し。磯より西方に窟戸あり。高さと広さと各六尺ばかりなり。窟の内に穴あり。人、入ることを得ず。深き浅きを知らざるなり。夢に此の磯の窟(いはや)に至れば必ず死ぬ。故、俗人、古より今に至るまで、黄泉の坂・黄泉の穴と号(なづ)く。

「脳(なづき)の磯」という名がすごいし、夢の中でこの磯に行くと死ぬというのもすごい。
出雲大社の北の海岸にある猪目(いのめ)洞窟遺跡が、その黄泉の穴であるとされる。(が、ここにも行く時間がなかった。)

出雲には黄泉の国への通路といわれるところが2カ所あることになり、出雲は神にもあの世にも近い。

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倉橋由美子に『よもつひらさか往還』という作品がある。
とくに出雲が舞台というわけではない。
都会の妖しいバーで、妖しいバーテンが作るカクテルを飲むと、「この世」ではない、「あの世」に入っていく。
とてもひかれる読み物だった。

『よもつひらさか往還』 倉橋由美子 講談社 2002

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青木繁(1882-1911)にも『黄泉比良坂』という作品がある。1903年作で、東京藝術大学大学美術館が所蔵している。
福岡市美術館には、その習作がある。




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