多摩川と羽田空港
- 源流:笠取山(山梨県甲州市)水源の標高1,953 m
- 河口:東京湾(東京都大田区羽田空港 神奈川県川崎市川崎区浮島町)
- 延長:138 km
■ まず焼肉を桜苑で
川崎駅前のバス停から、「川23川崎大師」行きの臨港バスに乗り、「四つ角」バス停で降りる。
このあたりはコリアンタウンで、朝鮮半島系らしき名の施設や店を見かけた。
道はセメント通りという。 かつて浅野セメントに通勤する人たちが通ったことからそういう名で親しまれた。
焼肉の名店、桜苑に一番乗り。
上タン塩ランチと上カルビランチを注文して、妻とシェアして食べる。
5月半ば、けっこう暑くなってきた日で、生ビールがうまい。
ハーフハラミを追加。 3種の肉がそれぞれにおいしかった。
ふたたび「川23」のバスに乗り、藤崎1丁目で「川03 浮島バスターミナル」行きに乗り換える。
ビルや商店や住宅が並ぶ市の中心部からしだいに離れて、広い敷地を占める工場や倉庫が並ぶようになってくる。
1963年開通の神奈川臨海鉄道のレールが並行している。
1964年の映画『仲間たち』は、臨港バスの車掌・松原智恵子と、トラック運転手・浜田光夫の恋物語で、道路とレールが並行する風景がいくどかあった。
終点の1つ手前の「浮島町公園入口」で降りる。
■ 浮島町公園
地図上で多摩川の河口先端部を見ると、左岸に羽田空港があり、右岸には浮島があって、その空港寄りの端がは浮島町公園になっている。
バスを降りて公園に入り、河津桜が並ぶ小径をいくと海が開ける。
視界右では、(写真のように)自動車道が立体的に渦をまいていて、その先に東京湾アクアトンネルの浮島換気所があり、その先には、海ほたるにある風の塔が小さく見えている。
視界の左、川の上流方向には、A滑走路の誘導路の赤い構造物が流れの中にある。
羽田空港にある4本の滑走路のうち、海にとびだしてあるD滑走路が向こう岸に見えていて、写真はその先端部。
飛行機がひんぱんに飛ぶ。
D滑走路に着陸してきた飛行機は、左向きに方向を変え、ブリッジを渡るときに横の姿を見せて、ターミナルに向かっていく。
A滑走路から飛び立つ飛行機は、ANAやJALのマークを見せて、まもなく空に消えていく。
まったく飽きる間もないくらいに、次々と離着陸がある。
山手線より出入りの頻度が密だ。
小さな公園には、木々のほかにいくつかベンチがあるだけ。
太く長い望遠レンズをつけたカメラをもち、飛行機を撮る青年2人。
ベンチで憩う老年2人。
のどかでいい。
■ 川崎キングスカイフロント東急REIホテル
「川03」のバスで市街方向に戻り、「キングスカイフロント入口」で下車。
今夜泊まる「川崎キングスカイフロント東急REIホテル」にチェックインした。
窓のすぐ外に多摩川が流れ、その向こうに羽田空港。
しかもB滑走路がほぼ正面にある。
大きな窓から、離陸して近づいてくる飛行機の下腹が迫ってきて、頭上をうしろに越えていった。
部屋に荷物を置いて散歩に出た。
ロビーでコーヒーを注文してひと休み。
ロビーわきのドアを出ると、すぐ多摩川の土手。
またB滑走路から離陸した飛行機が、すぐ頭上を行く。
ホテルの屋上からちょっと長い棒を延ばせば届いてしまいそうな気がするほど。
川に沿った遊歩道を下流に歩く。
2022年にできたばかりの多摩川スカイブリッジをくぐる。
その先の内陸側はヨドバシカメラの広い敷地になって、高い塀がずっと続いている。
■ 多摩川河口標柱
ホテルから1.3km、15分ほど歩くと、多摩川河口標柱が立っている。
対岸は羽田空港で、たまにモノレールが高架を走っていくのも見える。
右方向に河口があるが、ここからは海に開けた河口としては見えない。
多摩川の河口は、埋め立てで広がり、人口島もいくつもあり、どこが本来の河口か、地図を見ても定かにはわからない。
標柱があるここが、おおもとの河口だろうか。
対岸には「多摩川の0㎞地点」を示す小さな金属標が地面に打ち込まれているという。
あとで見に行こうと思う。
左手には、さっきくぐってきた多摩川スカイブリッジ。
◇ ◇
いったんホテルに戻って、ホテルと空港を結ぶ送迎バスに乗り、多摩川スカイブリッジを越えた。
はじめは歩いて越えるつもりだったのだが、土手道からスカイブリッジの歩道に上がるには、かなり遠回りしなくてはならない。
このあたり、広い敷地を占めて立ち入りできないようきっちりフェンスで囲っているところが多い。ついそこに見えているどこかへ行こうとしても、広い敷地の外周を遠回りしなくてはだったり、気楽な散歩にはあまり適さない。
羽田空港第3ターミナルでバスを降りる。
そこからの川岸は「ソラムナード羽田緑地」という気持ちよさそうな水辺の公園になっていて、「多摩川の0㎞地点」のプレートもそこにある。
ところがターミナルからは車道が複雑にある先になる。 こちらも簡単には行き着けなそうで諦めて、第2ターミナルに無料移動バスで移動した。
■ 羽田空港第2ターミナル
展望デッキに出る。
西に傾いた陽が射している。
浮島町公園入口からわりと近くに見えた東京湾アクアトンネルの浮島換気所と、海ほたるの風の塔が、遠く小さく見えた。
4階にあるエアポートグリル&バールで、ハンバーグとワインの夕飯。
運よく窓際の席に座れて、飛行機がすぐそこの下に見える。
暮れてゆく空港の夕景と食事を楽しんだ。
またホテルの送迎バスに乗って、スカイブリッジを渡り、ホテルに戻った。
近くのセブンイレブンでデザートにスイーツを買い、部屋に戻ってコーヒーをいれ、窓辺に座って夜景を眺めながら憩う。
B滑走路から夜の飛行機が離陸してくるのを見上げられるかと期待したのだけれど、夜はBからの離陸はないようだった。
視界の右方向からこちらに向きを変えて着陸してくる灯りは次々と続いた。
写真中央の浮いている灯りは、着陸してくる飛行機。
そしてすぐ前を多摩川が左から右に悠々と流れている。
河口をめぐっていると、名の知れた大きな川でも、ダムで取水されたりして、河口では細い流れになっていることがしばしばある。
ここのようにたっぷりした水量で海に入っていく川には満たされる思いがする。
夜、すぐそこを水が流れている-と感じながら眠った。
朝は滑走路のすぐわきから陽が昇るのが見えた。
2010年に海にはみ出した4本目のD滑走路が完成し、広い空港を見渡すために管制塔も新設されて、管制塔としては日本でいちばん高い115.7メートル。
釣り客を乗せた船が右へ、海に向かっている。
5階にあるレストランで、また川と空港を眺めながらぜいたくな朝食を楽しんだ。
(2024.5)