鶴見川-貝をまいた公園、港みたいな終点駅

国道駅
■ 国道駅

京浜東北線の鶴見駅で鶴見線に乗り換え、次の国道駅で降りる。
高架のホームレス文化から階段を下ると、ゆるやかにカーブする通路に出る。
無人の改札をスイカでタッチして出ると、天井はアーチ型で、薄暗く、現代の駅とは思えない異様さ。
1階が商店、2階が住宅になっていたようだ。
1階には、不動産会社や居酒屋の看板が残っているが、営業しているところはない。2階の住居の、もとは窓だったらしいところは、ほとんどベニヤ板でふさがれている。
すっかり無人で何も使われていないようでもあるが、1階の一部の扉状部分に南京錠がかかっていて、今もあけて出入りする人がいそうにも見える。
国道駅の名は、すぐわきの「京浜国道」からきていて、京浜国道は駅開業当時には国道1号、今は国道15号になっている。

鶴見川河口干潟
■ 鶴見川河口干潟

アーチの下の駅構内を、国道から反対側に出て進むと、すぐに鶴見川につきあたる。
低い土手を上がると、ゆったりした遊歩道になっていて、そこを河口に向かって歩く。
国道駅の薄暗い閉じた空間から一転して、青い空、明るい日の光、ゆるゆるいく 水の流れが心地よい。

やや行くと「鶴見川河口干潟」として公園になっている。
黒く見えるもともとの干潟の陸側に、白い貝殻がまき敷きかれている。
かつてこの生麦ではミル貝などの生貝が多く獲れ、貝類のむき身で暮らす家が多くあった歴史を反映しているという。
(生麦という地名が貝の「生むき(なまむき)」から転じたという説もある。)

小さな子を遊ばせるおかあさんがいる。
公園の舗装段差に腰かけて、ノートになにか書いている女性がいる。
干潟に流れつくガラス器などを拾って洗い部屋に並べているという人がいる。
都会の河口は、港や倉庫や住宅に迫られて、肩身がせまそうにしていることが多いが、ここはとてものびやか。
いい河口に出会えた。

国道駅に戻るには、川に並行して内側にある「生麦魚河岸通り」を歩いた。
魚を扱う小さな店舗がいくつかある。
早朝が最盛時だろう店では、魚を詰めてあった箱類をゆっくり片づける人がちらほら見かけるくらいで、静かだった。

海芝浦駅
■ 海芝浦駅

国道駅から鶴見線に乗って海芝浦駅に向かう。
鶴見線は、両端の鶴見駅と海芝浦駅を含めて7駅のみ。
浅野駅で右へ、海方向に向きをかえる。
東海道の密集地域にある鶴見駅から10分ほどで、のどかな海辺の海芝浦駅に着く。
駅は東芝の子会社の敷地内にあり、部外者は改札の外に出られない。
それがかえって希少価値で、ただやってくる人がけっこういるらしい。
改札口の近くに「立入禁止」「撮影禁止」の掲示がある。
「改札から出なくても精算が必要です」とか「精算をされないと不正乗車になってしまいます」とかいう掲示も、念入りにある。
精算には「出場」の小さな自販機にスイカをタッチし、「入場」の自販機をもう一度タッチする。
中高年の2人連れなど、いかにもな鉄道ファンでない人がほかにもいた。

ホームのすぐ隣が海。
ホームが港の岸壁のよう。
晴れて、海がキラキラしている。
遠方に首都高速湾岸線の高架道が見える。

鶴見線
■  鶴見線 
電車は通勤者用に朝夕は本数が多いが、昼間は1時間に1本。
海芝浦駅では10分ほどの停車で折り返すので、ただ駅を眺めにくるには都合がいい。
鶴見駅に戻るとき、海に向かって腰かける。
青空、海、日のひかり、ゆっくり走る揺れ、みんな快適。

総持寺
■ 曹洞宗 大本山 總持寺

鶴見駅直結の駅ビル「CIAL鶴見」でランチ。
駅から西側に出て、総持寺(そうじじ)に寄った。
鶴見あたりの地図を見ると、大きな面積をしめていて、ちょっと気になっていた。
永平寺と並ぶ曹洞宗の中心寺院という。
広い。
幾本か紅葉がみごとな時期だった。

隣接して鶴見花月園公園がある。
かつては花月園という遊園地があり、1950年から2010年までは競輪場、その後に公園になっている。
そこまでは行かなかった。

(2025.11)