網走川-帽子と監獄

網走橋から網走川
網走川のいちばん河口寄りにある網走橋を右岸から左岸に越える。(写真では右から左へ。向こうが河口。)

モヨロ貝塚
越えた先の左岸には、モヨロ貝塚がある。
1000年ほど前にオホーツク海沿岸にあった漁労と狩猟が中心のオホーツク文化の生活跡をうかがわせる。

網走川河口と帽子岩
モヨロ貝塚よりさらに河口先端に向こうと、砂浜と防波堤でつながる先に、地球のこぶのようなものが見える。
帽子岩とよばれる安山岩の山で、高さ約40m、周囲は数百mというから、遠目には小突起のようだが、近づいたら大きなものだろう。
アイヌ民族が海獣猟に出る前、この岩に登って祈りを捧げて「チパ・シリ」(幣場(ぬさば)のある場所)といわれた。
これが網走の地名の由来の最有力説。

網走川河口、網走橋
上流方向を振りかえると、さっき渡ってきた網走橋。
渥美清の映画『男はつらいよ』は毎回ことなるマドンナが登場したが、浅丘ルリ子だけが数回、シリーズの継続性を支えるかのように流しの歌手リリーとして出演した。
初めての出会いは『寅次郎忘れな草』(1973)で、夜汽車の座席でリリーが涙を流しているのを寅次郎が目にとめる。 次の日かに、網走川の河口の川岸で2人が行き会うのが、寅次郎とリリーの最初の会話だった。その場面で橋が見えていたのが網走橋だったろう。
広く砂浜が映って、遠くに帽子岩、中景の波打ち際にポツンと寅次郎、近景に大きく寅次郎がいつも持ち歩く黄色いカバンが配置された画面もあった。

網走刑務所と鏡橋
網走川を河口から4キロほどさかのぼると網走刑務所がある。
鏡橋を越えた向こう側にあって、ふつうに人が暮らすところから離してつくられているふうに感じてしまう。
でも、もともとは北海道の原野の開拓に囚人をつかうために刑務所が真っ先に設置された。
刑務所が先で、あとから川のこちら側に市街ができたり、鉄道ができたりしたのだろう。

網走刑務所の前を流れる網走川
このあたりでは、こんなふうにゆったりと流れている。

博物館網走監獄
さらに4キロほどさかのぼると、博物館網走監獄がある。
1983年に網走刑務所の全面改築工事に伴い初期の建物群がこちらに移築して公開されている。
(いくつかの建物は重要文化財に指定されている。)
刑務所跡が有名観光地になっている。

(2012.6)