旧雄物川(秋田運河)と雄物川

旧雄物川、秋田港
旧雄物川の河口右岸は秋田港。
河口でゆっくり時間をすごすために、港から近いルートイン秋田土崎に泊まった。 この写真は7階の部屋の窓から撮っている。
左にある高い塔は、セリオンタワーという高さ143mの展望施設。

旧雄物川の河口
タワーの展望室に上がるエレベーターを待っていると、制服の白シャツを着た中学生のグループがいる。 エレベーターが降りてくると、別の中学生グループが出てきて、あっちとこっちのグループがにぎやかに声をかわしている。
ここは秋田のスカイツリーといわれるデートコースとかで、やがて今日の中学生たちの中から2人だけで来ることもあるのだろう。
展望室から河口方向の眺めると、 いい感じに晴れた日で、やや離れた街並みも、真下の青い海も、みんなくっきりしている。

秋田港の貨物線 秋田港のコンテナ

港と土崎駅とを結ぶ貨物線があって、港側ではいくつもの線に枝分かれしている。
1つの線路に列車がとまっていて、 近くにコンテナがいくつも積み上がっている。
見おろしていたら、フォークリフトが現れた。 コンテナの1つを腕にのせると、するすると動いて、列車にのせた。 次にコンテナ置き場からまた1つ腕にのせると、するすると走って、別のコンテナ置き場におろした。 そんなふうに次々動かしていく。 どのコンテナをどこへということを、どう判断しているのかわからない。 積み木遊び見たいな気分で、しばらく見ていて飽きなかった。

かつての雄物川は土崎港で海に入っていた。
洪水防止のために大正から昭和にかけて大改修があり、1938年に新たな放水路ができた。
新しくできたほうが本家のように「雄物川」になり、元の流れは「旧雄物川」または「秋田運河」とよばれる。 ふつうの感じでは、'旧'が自然な感じで、'新'が人工的になりそうだが、旧・雄物川は港の施設があって人工的で、新・雄物川のほうが自然らしい景色にみえる。これは東京の荒川-隅田川、大阪の淀川-安治川と同じよう。

雄物川の河口
旧雄物川より数キロ南にある雄物川の河口左岸に行く。
砂浜をたどって川岸に向かうと、景色は荒涼としている。 水辺に出ると日本海が広がり、向こう側(雄物川右岸)では10基ほどの風力発電の風車が回っている。
川の中央部では水が海に向かって流れているが、足下では波が砂浜に打ち寄せてきている。

旧国立新屋倉庫
河口から3kmほど上流の左岸に旧国立新屋倉庫があった。 雄物川の改修工事による堀削土で湿原を埋め立ててできた土地に、旧秋田県販売購買組合連合会が建設した。 1935年に完成して米の需給調整のための保管庫につかわれ、秋田県における年間消費量の3割ほどを保管できたという。
国有時期を経て1994年に秋田市に譲渡。
今は秋田公立美術大学の大学の工房とギャラリー、秋田市の図書館の1つとして使われている。
川のそばに倉庫が並ぶ風景は山形県酒田市の最上川の河口近くにある山居倉庫を連想させる。

(2011.7 2017.9)