鯖石川-ハスやクリが流れてくる

鯖石川河口
鯖石川では河口のわずか手前に砂州がはりだしている。
右岸から左岸に向かっていて、左岸にもう少しで届いて河口をふさぎそうなほど。
(この写真では右が河口で、上流方向を向いている。)

鯖石川河口
砂州に降りて、先端近くまで歩いたところからの上流の眺め。
鯖石川の源流は東頸城丘陵で、行政的には十日町市になる。
明治期の地質調査書にこんな記述があるという。
「鯖石川ニモ二源アリ 一ツハ儀明地方ヨリ莇平ノ南ヲ経テ東北ニ流下スルモノニシテ之ヲ二瀬川ト呼ビ本流ニ沿ッテハ所々ニ削剥段階地ノ形成をセルルヲ認ム。」
その源流域を含む地域で、2000年から「大地の芸術祭越後妻有トリエンナーレ」が開催されている。 僕はその初回に行ったときに、美しい風景と、そのなかに展開された存在感あふれるアート作品の数々にとても感銘を受け、以後も3年おきに開催されるのを楽しみにしてきた。 最初のときから20年以上経って、そこから流れ出る川の河口に来た-という感慨がある。

鯖石川河口
砂州に漂着物がいくつもあった。
ハスとかクリとかの自然物のほかに電球なんかもあった。
2020年の秋、コロナ禍が小康状態になったのを機に新潟県の河口を順にいくつもたずねていったのだが、こんなに漂着物を目にしたところは他になかった。
とはいえ、この川がこのあたりでは珍しいとしても、全国規模で思えば新潟の他の川の多くに漂着物がないことのほうが珍しい。
新潟の海岸では、海岸線に沿って砂丘、その内側には潟-というのが一般的な地形のスタイルになる。砂丘に川を通せば、潟から排水して耕作可能地を増やせるし、大雨のとき砂丘にさえぎられて水があふれるのも防ぐことができる。
ほかの川で漂着物をほとんど見なかったのは、新潟の河口に人の手が加わっていることが多いことを示していることになるだろうか。

鯖石川河口
こんなものが割れずに河口まで届いてるのが不思議。

鯖石川河口
砂州から海方向の眺め。
波が繰り返しやってくる。

鯖石川河口
砂州から右岸先端の眺め。
波を受ける黒い袋には番号がふってあって、最上段では122番までになっていた。
それより河口側はふつうの消波ブロック、内陸側はコンクリート製の防潮堤で、なぜ間に黒い袋をサンドイッチしているのかわからない。

鯖石川河口
右岸には、河口近くまで住宅が建っている。 (左岸は工場や柏崎市の下水道の終末処理場などがある。)
5キロほど北には東京電力柏崎刈羽原子力発電所があり、鯖石川河口はこの原発にいちばん近い。


(2020.10)