[富山県東部の海岸] 1 回転橋と地下道がある黒部漁港と高橋川

[富山県東部の海岸]
 1☆回転橋と地下道がある黒部漁港と高橋川
 2 有名な黒部川/無名の吉田川
 3 魚津埋没林と鴨川/早月川に観覧車
 4 ほたるいかミュージアムと中川放水路
 5 白岩川にイカの壁画食堂/常願寺川にボートハーバー
 富山県東部の海岸を2泊3日で見てきた。 はじめレンタカーで移動するつもりだったが、富山東部では鉄道の駅から河口まで遠くない。 しかも富山は交通に注力している県で、鉄道やバスが充実しているし、いくつかレンタサイクルの拠点もある。 それで、青い日本海と、白く雪を乗せ始めた立山連峰にはさまれながら、電車に乗り、バスに乗り、海岸線を自転車で走って、爽快な旅になった。


1 回転橋と地下道がある黒部漁港と高橋川

黒部漁港
■ 黒部宇奈月温泉駅
第1日目の主目的地は、あの黒四ダムから流れ降りてくる黒部川なのだが、その河口付近には食事どころがなさそう。
はじめに黒部漁港に行って新鮮な魚でランチにして、さらに南の高橋川を見たあと、北に反転して黒部川に行くことにした。
黒部宇奈月温泉駅に新幹線が10:24着。
10:35発の生地(いくじ)駅行きのバスに乗った。



生地(いくじ)駅
■ 生地(いくじ)駅
バスには5人乗って、そのうち2人は企業勤めらしいキッチリした服装の男女各1。
走りだして十数分か、YKKの工場らしきところがあり、バスは広い構内に設けられている停留所まで入っていき、その2人は降りた。

生地駅11:01着。
駅前に村椿公民館があり、そこでレンタサイクルを借りる。
無料。

魚の駅「生地」
■ 黒部漁港/魚の駅「生地」
自転車で10分ほど走ると魚の駅「生地」に着いて、まずランチ。
「生地の刺身定食」1,500円を食べた。
刺身がもちろん新鮮でおいしいのだが、ご飯がまた際立った美味で驚かされた。

全国に漁港は数多くあるが、ここでは珍しいものが2つあり、1つは海底地下道。
黒部漁港は海との出入口になるあたりが狭まっているのだが、その狭いところに下をくぐる地下道がある。

生地中橋
■ 生地中橋
もう1つは、地下道の近く、わずかに海よりにある生地中橋で、回転可動橋。
漁港のわきの道を歩いていると、ちょうど漁船が一艘入ってくるのが見えた。
急いで橋に近づいてみると、船が通過しおえて閉じるのに回転しているところだった。
写真では、左が海、右が漁港内になる。
下のほうに、回転する橋の弧を描く境界が見えていて、左から上には、鉄道の踏切にあるような黄色と黒に塗られた遮断機のバーがある。
橋は、この写真では向こう側が右に回転して、船を通す。

清水(しょうず)
■ 清水(しょうず)
このあたりは黒部川の左岸地域。
北アルプスの山々から降りてくる水が、川の本流のほかにも地下水となって地下に浸透していて、あちこちで湧き水となって地表に出てくる。
古くから飲み水や洗濯などに使われて生活に欠かせないもので、「清水(しょうず)」とよばれ、「生地まち歩きマップ」には20か所の湧水点が記されている。
回転する生地中橋の近くに、皇国晴(みくにはれ)酒造という造り酒屋があって、酒造りの水にもなっている。
写真は、その酒蔵のすぐ裏手にある弘法清水。
かなりな勢いで、かなりな水量が、あふれ流れ落ちてくる。

高橋川
■ 高橋川
水源:黒部市と宇奈月町の境から真西に流れる
河口:富山湾(黒部市)
全長:8.7km

黒部漁港から海岸沿いに自転車で2キロほど気持ちよく走って、高橋川の河口に着く。
河口付近はコンクリートで固められた人工物になっている。
写真は上流方向の眺めで、

高橋川
こちらが日本海に開いた河口。

黒部市総合公園
■ 黒部市総合公園
わずかに上流に向かうと、高橋川(右)とそこに流れこむ細い水路(左)の合流点が黒部市総合公園になっている。
中央に立っているのは「風の塔」。
1990年代に、富山県では「富山県まちのかおづくりプロジェクト」というのがあり、海外の建築家の設計で市町村にまちの顔となるような小さな建築をつくろうとしたなかの1つ。
ロン・ヘロン設計で1993年にできた。
この塔はあとで公園からも見上げたが、この下流からの風景が、水の流れと立山連峰の背景とマッチして、すてきに感じた。

黒部市美術館「キュンチョメ個展 魂の色は青」
■ 黒部市美術館
黒部市総合公園の中にある黒部市美術館に入り、「キュンチョメ個展 魂の色は青」を見た。
映像作品では、ため息でふくらませた風船をおなかに乗せて海にぷかぷか浮かんでいたり。
祈りながら何度も海に沈んでいったり。(すると、体は沈み、祈りの言葉は泡になって水面に上がっていって消える。)
僕の河口めぐりでは、ときたま川や海の水に触れてみるけれど、全身浸ることはないので、ああいうのもいいなと思いながら、ゆっくり眺めた。

美術館を出ると、入るときには気づかなかったこんな作品があった。
球形の容器に海水が入れられ、わきにスポイト。
下に「海を一粒、指先に乗せて歩く」。
想像をそそる。

ここから折り返して、北へ、黒部川に向かった。

(2023.10)