[富山県東部の海岸] 2 有名な黒部川/無名の吉田川

[富山県東部の海岸]
 1 回転橋と地下道がある黒部漁港と高橋川
 2☆有名な黒部川/無名の吉田川
 3 魚津埋没林と鴨川/早月川に観覧車
 4 ほたるいかミュージアムと中川放水路
 5 白岩川にイカの壁画食堂/常願寺川にボートハーバー


黒部川河口
■ 黒部川
源流:鷲羽岳(わしばだけ 富山県富山市と長野県大町市の境)
河口:日本海(黒部市と入善町の境界)
延長:85 km

生地駅(あいの風とやま鉄道)から、ランチをとるために自転車でやや南に走って行ったが、高橋川で北に折り返して、黒部川左岸の河口に着いた。
左岸の道はいくらか高いところにあり、そこから対岸方向を眺めると、水が流れるところと、石が混じる草地とが、いくつか繰り返しているようだ。 流路は固定していなくて、しばしば変化するらしい。
鷲羽岳の標高2,400m付近から流れ下り、わずか85kmで海に達する急流で、常願寺川に次ぐ勾配になる。 広さ1.2万haの黒部川扇状地のほぼ中央を流れる。 上流には黒部ダムがあり、困難な工事を経て1963年に完成し、1968年には三船敏郎、石原裕次郎主演の映画『黒部の太陽』にもなって、よく知られ、今でも人気の観光地になっている。
河口はさすがに広いが、悠々と川幅いっぱいに水が流れているのではないので、「黒部川」という名から期待したほどの迫力にやや乏しい。
右岸には黒部川河口公園があるが、もう日が落ちかけてきているので、そこまでは越えて行かなかった。

黒部川河口
左岸に降りたところから、やや高い左岸を振り返った眺め。
左岸一帯はおおむね田畑だが、河口近くには、土木会社や廃棄物処理会社が立地して、非関係者は近づけないところになっている。

黒部川河口
■ 吉田川
黒部川左岸から、海岸線に沿った堤防が南西に延びている。
細く舗装された道になっていて、生地駅に戻るために自転車で走る。
海からは軽い風。
空からは適度な日射し。
海と反対側は、小さな森や、田畑や、集落があり、ときたま左へ降りていく細い道がある。
しばらく走ると、金属製の勾配が見えてきた。
しまった、階段だと自転車で進めない、途中で左に降りたほうがよかったか-と思いながら近づいてみると、階段ではなく坂だった。
金網状の板が斜めに架かっていて、自転車でも上がっていけた。

黒部川河口
これはその橋に上がってから、黒部川河口方向にふりかえった眺め。
橋の本体も、ここに上がってきた坂と同様にメッシュの板で、足もとには水の流れが見えた。

黒部川河口
橋を降りて、吉田川の上流に向かうが、これはふりかえって見たメッシュの橋。
こんな河口間際にこんな橋が架かっているのは、僕には初めてだった。
これまで細い川の河口近くに橋があれば、どこもコンクリート製ばかりだった。
吉田川についてはデータが見つからなかった。
地図で上流方向をたどって見ていくと、自然の川のようにゆるやかにくねっていなくて、ほぼ直線の流れが数回折れ曲がったあと、5キロほど先で消えている。 吉田川という名ではあるが、人工の水路のよう。
河口あたりの地名が吉田で、そこからとられた名かと思える。

黒部川河口
■ 黒部市吉田科学館
海岸の堤防から離れて、吉田川に沿った道をさかのぼっていくと、黒部市吉田科学館があった。 ドーム状の屋根が架かっていて、下にはプラネタリウムがあるらしい。
前にパリで見たオベリスクのようなものが建っている。
そこにあった説明板を見ると、ファスナーメーカーとして知られるYKKの創業者の吉田忠雄が魚津市出身の人。
科学館は、YKK創業50周年の寄付により、1986年開館に開館したとある。
生地駅からバスに乗ったら、YKKの工場内にバス停があったのから始まり、ここまでいくつかYKKの広い敷地、大きな建物を見かけた。まるでYKKの飛び石づたいに移動しているような気がするほどだった。 創業者が出身地にいつくも実をつけていたのかと、ここでようやく納得した。
オベリスクには、吉田忠雄の胸像と、モットーとした「善之循環」の文字が刻まれていた。
* 黒部市吉田科学館:富山県黒部市吉田 574-1 0765-57-0610

黒部川河口
■ 生地駅
科学館からほど近い生地駅前の公民館に戻って自転車を返却し、生地駅に。
今日のホテルを予約してある富山駅に向かう。
富山は交通システムがよく整ったところで、電車が1時間に1本か2本きりないこのローカルな駅でも、「15:13」という発車時刻の下に 「前々駅→前駅→当駅」 という表示があって、次に来る電車の現在地がわかる。
まるで都会のバス停のようだ。
36km、33分、810円で、富山駅に着く。

黒部川河口
■ 白えび亭
今夜は、富山駅の北、歩いてほんの数分にあるオークスカナルパークホテル富山に予約してある。
チェックインしてから駅に戻り、とやマルシェ内の白えび亭に入った。
「富山スペシャル天丼」という豪華なのを注文。 (写真では右上にあり、1,790円。)
白えび・ほたるいか・ブリと名物がそろっていて、期待どおりにおいしい。
ビールによくあって、満ち足りた1日を終えるのにぴったりだった。
(2023.10.)