[富山県東部の海岸] 4 ほたるいかミュージアムと中川放水路

[富山県東部の海岸]
 1 回転橋と地下道がある黒部漁港と高橋川
 2 有名な黒部川/無名の吉田川
 3 魚津埋没林と鴨川/早月川に観覧車
 4☆ほたるいかミュージアムと中川放水路
 5 白岩川にイカの壁画食堂/常願寺川にボートハーバー

あいの風とやま鉄道滑川(なめりかわ)駅と、富山地方鉄道滑川駅は、隣り合っている。
富山駅から、あいの風とやま鉄道に乗って滑川駅に来た。
駅前からまっすぐ海に向かう道が、ほたるいか街道と名づけられている。

滑川市の海岸
滑川駅から海岸に向かって歩く。
整然とした住宅街で、人通りがほとんどなく、穏やかな日射しのなかで、まどろんでいるような雰囲気だ。
滑川市は、早月川扇状地の湧水帯にあり、「滑」というのは、低湿地とか沼沢地を意味するという。
ホタルイカと蜃気楼が有名。

滑川駅から歩いて10分ほどで海岸に出た。
このあたり中川原海岸では、毎年7月31日にネブタ祭があり、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
「ネブタ」は「睡魔」のことで、火をつけたたいまつを筏にのせ、生きるのに障害となるものものを海に流し去ろうという願いをこめる。
ネブタの行事は各地にあるが、ここが日本海側の南限という。

写真中央、水平の壁は滑川漁港の防波堤で、その手前を中川放水路が右から流れて左の海へ入っている。

中川放水路と滑川漁港
[中川放水路]
水源:早月川蓑輪頭首工から取水 (滑川市蓑輪)
河口:富山湾(滑川市)
幹川流路延長は約10km

中川放水路の河口と滑川漁港の眺め。
滑川市域では、早月川から取水した古くからのかんがい用水路が2本ある。
中川と沖田川といい、沖田川は海岸近くで中川に合流して富山湾に入る。
細い流れの周囲で市街化が進んだことによるのか、洪水がたびたび発生してきた。
その解決のために、「中川放水路」(2001年)と、「沖田川放水路」(2017年}がつくられた。
中川放水路にかかる橋を見たら、「のぞみ川」という銘板がはめられてあり、愛称もあるようだ。
「沖田川放水路」は、あいの風とやま鉄道線の手前から暗渠になり、道路下を流れ富山湾に注いでいて、河口は見えない。

中川放水路河口の階段
中川放水路の河口間近に小さな橋があり、そのすぐ上流側にこんな階段がある。
野外の円形劇場ふう。
川岸に降りられるようになっているのだが、その先にはわずかに砂が堆積しているくらいで、川遊びができるふうではないし、コンクリート護岸に囲まれ、眺めも格別ではない。
何のためにあるのか、ちょっととまどう。
せめて向こう側、海に向いてたら気持ちよさそう...

階段を上がった左手には、深層水体験施設タラソピアというのがあった。
正面のガラス扉に、今年2023年7月5日で閉館したと貼り紙があった。

ほたるいかミュージアム
閉館した深層水体験施設のとなりに、「ほたるいかミュージアム」があって、入る。
ホタルイカは全身が青白く発光する。
ふだんは深いところに棲んでいるが、春になると産卵のために富山湾の岸近くまで集まってくる。
3月下旬から5月下旬には、ホタルイカがきらめく漁の様子を見る海上観光があり、ミュージアムの館内でも採ってきたホタルイカを眺める屋内ショーもある。
僕が行った秋にはホタルイカが見られないので、入場料金が安くなっていて620円。(時期には820円)
ホタルイカがいない時季でも、「龍宮ホタル」という発光性プランクトンの発光ショーがあり、水中で光るものが動くのは魅惑的だった。

滑川駅に戻る
朝は富山駅からあいの風とやま鉄道に乗ってきた。
このあと魚津駅に行きたい。
あいの風とやま鉄道と富山地方鉄道(地鉄)は、基点の富山駅のほかでは、滑川駅と魚津駅とが接している。(地鉄では「新魚津駅」という駅名になるが)
ただ滑川駅で乗り換えるとするとちょっとメンドウで、それぞれの改札口をいったん出て、地下道をくぐった先にもう一方の駅の改札口がある。
これから魚津に向かうには、地鉄の電車が先にくる。
こちらに来て初めて地鉄に乗った。
駅舎も車両もやや古びていて、走るときもガタガタ揺れた。
旅情があるとはいえる。
(このあと魚津駅から鴨川~早月川を自転車で回り、あいの風富山鉄道に乗って富山駅に戻った。)

とやま方舟の白えび天重
富山で2泊目も、きのうと同じ富山駅から歩いて数分のオークスカナルパークホテルに。
夕飯もきのう同様に駅に接続したとやまマルシェに行き、「とやま方舟」に入った。
席まで同じようにカウンター席のいちばん端で、落ち着く。
まず生ビール。
海の近く、日射しのなかを歩き、自転車で走りしてきたので、うまいこと。
白えび天重刺身定食。
白えびの天ぷらは、軽くホロホロしてやさしい。
刺身は小ぶりだが厚く、歯ごたえがあり、しっとり口にひろがる。
きのう通りかかった生地漁港近くの皇国晴酒造(みくにはれしゅぞう)の「幻の瀧」純米吟醸を追加。
ほろ酔いした。

富山還水公園
富山駅の北に富岩運河還水公園がある。
運河は神通川と並行して北に向かっていて、並行したまま富山湾に入っている。
還水公園は水と空とが広々とあって、昼間も気持ちがいいところだが、夜もライトアップされていて、すてき。
手ごろに酒に酔い、ゆらゆらと水辺の遊歩道を歩いた。


(2023.10)