[富山県東部の海岸] 5 白岩川にイカの壁画食堂/常願寺川にボートハーバー

[富山県東部の海岸]
1 回転橋と地下道がある黒部漁港と高橋川
2 有名な黒部川/無名の吉田川
3 魚津埋没林と鴨川/早月川に観覧車
4 ほたるいかミュージアムと中川放水路
5☆白岩川にイカの壁画食堂/常願寺川にボートハーバー

富山駅から白岩川河口に向かうのに、電車では、あいの風富山鉄道に乗って水橋駅で降りて歩いていく行き方がある。
駅間所要12分、290円。
でもバスを選んで、富山駅4番乗り場72系統「水橋経由滑川行」に乗った。
バスは水橋駅前を通り、白岩川河口方向に走って、河口手前で東にそれて滑川に向かう。
それで河口からそれる前に、「水橋地区センター」というバス停で降りた。
所要33分、680円。
バスを降りたところまでの所要時間は、電車+徒歩でも、バスでも、ほとんど同じくらいで、経費は高くなるが、バスで富山市街を抜けていくのがおもしろかった。

白岩川河口
■ 水神社

[白岩川](しらいわがわ)
水源:大辻山(標高1,361m 富山県中新川郡立山町)
河口:富山湾(富山市)
延長:24.6km

バスを降りて白岩川河口に向かうと、水神社があった。
明治時代初期、橋が架けられたが、その用材として上流の山の木や、流域の神社の境内にある神木が、大量に使われた。
山の神をしずめ、川の安泰を祈念するために、この神社が建立されたという。
水神社とあるが、木神社でもいいのかも。
当初は橋建設の余材で建てたというが、今は社殿も鳥居もかなり新しそう。
今に至るまで大切にする思いを継いで建て替えられているのだろう。

白岩川河口
■ 東西橋

白岩川と常願寺川は、もとは海岸近くで合流して1本の川として海に入っていた。
洪水対策のための治水工事で2つの川は分離し、常願寺川は西に開かれた新たな流路で海に注ぐこととなった(1892年)。
白岩川の川幅は半分になり、前記の橋は架け替えられることになり、1900年に完成した。
1916年から改称されて東西橋。
その後、1957年に現在の橋に架け替えられた。
橋脚や高覧がシンプルな形を繰り返して、いい味をしている。

白岩川河口
■ 水橋食堂漁夫

東西橋からさらに下流に歩くと、河口にいちばん近い「浦の橋」がある。
その左岸側に、壁に大きなイカを描いて大胆なデザインの「水橋食堂漁夫」があった。
NHKテレビの「サンドどっちマンツアーズ」という都市対抗のツアー番組、2024年1月14日放送は「長崎・さだまさし対富山・柴田理恵」で、富山側の訪問地としてこの食堂がでてきた。
どんぶりから高く盛り上がるほどに旬の魚がのった海鮮丼を食べていた。
僕がここを通ったのはまだ開店前の朝9時ころで、まだ営業開始前だった。
まあ、ちょうどいい時間で入ったにしてもあんな大盛りは食べられそうもなかった。

白岩川河口
■ 白岩川河口右岸
河口にだいぶ近づく。
両岸から防波堤が延びて、河口は狭い。
左岸の防波堤の内側には水橋漁港がある。

白岩川河口
■ 水橋港艀(はしけ)場跡

右岸の河口近くの水橋港艀場跡。
江戸時代から昭和前半ころまで、おもに北海道との水運が盛んだった。
ただ水深が浅いので、大型船を沖に碇泊させ、艀という小型船を往復させて荷を運んだ。
この常夜灯は当時使われていたというものではなくて、この場の記念物として30年程前に建てられた。
すぐそばに、由緒はわからないが弘法大師堂なんてものもあって、歴史を感じさせる河口だ。

白岩川河口
■ 白岩川河口右岸の防波堤

河口にさらに近づく。
川と海の境でもまったく波がなく、穏やかで、ひとつながりの水面に見える。
川から海へ、ゆったりと水が流れてはいるのだろうけれど。

右岸では、かなり高い防波堤がある。
正面の金網にも右の壁にも「立入禁止」の標示。

白岩川河口
■ 白岩川河口の波打ち際

前の写真の高い防波堤の外側(東側)。
「立入禁止」の標示はあっても、細い階段が設けられていて、波打ち際に出られる。
白っぽい石ころが堆積した、砂浜ならぬ石浜で、「白岩川」という名はこれからかと思う。

   ◇     ◇
白岩川から常願寺川に向かう。
分離した2つの河口はとても近い。
川にはさまれた陸地部分は狭く、地図では先端域が中の島のよう。
先端部の幅はおよそ400m。
白岩川のいちばん河口よりの橋は浦の橋、常願寺川のは今川橋で、2つの橋を 県道1号線が結んでいるが、その橋間の距離はおよそ600mほど。
浦の橋からトボトボと水橋町内を歩いて行くと、たいした「歩いた感」もないうちに常願寺川の右岸にでた。

常願寺川河口
■ 常願寺川の河口

[常願寺川]
水源:北ノ俣岳(2,661 m)
河口:富山湾(富山市)
延長:56 km

常願寺川の右岸の先端部の眺め。
右岸には水橋フィッシャリーナがある。
ボートの繋留桟橋があり、その水面をぐるりと囲む防波堤では釣りや散策を楽しめる。
写真右は水橋フィッシャリーナの防波堤で、左には左岸から延びてくる砂嘴が見える。

常願寺川河口
■ 常願寺川の左岸の砂嘴

常願寺川の右岸から左岸方向の眺め。
2000メートル級の山からわずか56キロメートルで海に注ぐ急流だが、途中のダムや堰堤で制御されて、砂嘴が形成されるほどに河口の水量は少なく、流れも穏やか。
上流で水を制御する歴史は長く多様で、「常願寺川砂防施設」として重要文化財に指定されている。

常願寺川河口
■ 橋の工事

上流方向の眺め。
常願寺川のいちばん河口近くにある今川橋の架け替え工事が進んでいて、クレーン車の長い首が見える。
1963年の架橋から60年ほど経ち、塩害などで老朽化したため、上流側に掛け替える。

常願寺川河口
■ 水橋フィッシャリーナ

防波堤に囲まれた穏やかな水面にいくつもの船。

常願寺川河口
■ 水橋駅

水橋駅から電車で富山駅に戻りたい。
常願寺川の河口あたりから水橋駅までは、朝乗ってきた富山駅と滑川駅を結ぶバスのほか、水橋ふれあいコミュニティバスというのがある。
水橋駅から富山駅に向かう電車は11:12発があり、次は12:00。
11:12発に乗りたい。
もし逃したら、時間的には駅周辺で早めのランチにしてもいいが、静かな住宅街で、食事の店もなく、ほかに時間をつぶせそうなところもなさそう。
バスには手ごろな時間発がなく、急いで歩いた。
田園地帯で汗ばみながら歩いても、なかなか距離をかせいだ実感がない。
それでも発車数分前に着いて、めざす電車に乗れた。

   ◇     ◇
富山市街は、前に神通川の河口に行ったときに、散策したことがある。 すてきな街だった。
昼を食べ、しばらく街歩きをして、富山駅から帰りの新幹線に乗った。
今回は、富山駅近くのホテルに2泊して、電車をいくどか乗り降りして河口をめぐった。
まるで通勤でもしているような感じがあって楽しかった。

全行程はこんなふうだった。
2泊3の行程 (2023.10/31-11/2) (→電車 =バス -自転車 …徒歩)
第1日 北陸新幹線黒部宇奈月温泉駅=生地駅-黒部漁港-高橋川河口・黒部市総合公園-黒部川-吉田川・吉田科学館-生地駅→富山駅・オークスカナルパークホテル富山(泊)
第2日 富山駅→滑川駅…中川放水路河口・ほたるいかミュージアム…滑川駅→新魚津駅-魚津埋没林博物館-鴨川河口-角川河口-早月川河口・ミラージュランド-魚津駅→富山駅・オークスカナルパークホテル富山(泊)
第3日 富山駅=水橋地区センター…白岩川河口…常願寺川河口・水橋フィッシャリーナ…水橋駅→富山駅(市街散策後、北陸新幹線で帰る)
*電車は、第2日滑川駅→新魚津駅のみ「富山地方鉄道」1回 そのほかは「あいの風富山鉄道」4回

(2023.10)