九十九里浜1:栗山川-「はまぐり、ぜんな、ながらみを採らないで」

栗山川河口-はまぐりを採らないでください
房総半島の東岸には66kmも砂浜がつづく九十九里浜がある。
そこでいくつかの川が太平洋に向かって流れているうち、ほぼ中央に栗山川がある。
右岸の「マリンピアくりやまがわ」に駐車して、海岸に出た。
「はまぐりを採らないでください」という看板があり、業として貝類を採る人たちがいれば当然のことと思うが、そのあとの文言にナゾをかけられた。 「はまぐり、ぜんな、ながらみを採捕することはできません。」とある。「ぜんな」と「ながらみ」は、初めて見ることばだ。
あとで調べてみると、「ぜんな」は小さなはまぐりのことで、5月から8月中旬の手かき漁でしか採れない貴重なもの。
「ながらみ」は、外房地域で採れる貝で、漁獲量が少なく、「幻の貝」といわれるほどに、やはり貴重なものらしい。味はサザエ、食感はアワビのようとのこと。
都会や成田空港から近く、するっとゆるやかな弧を描いていて、秘密っぽいものなんてありそうにない海岸に、そんな珍しい収穫物があるというのが意外だった。

栗山川河口
駐車場から砂浜に出たあと、やや離れている河口に向かって歩く。
低いフェンスが、陸側の草地と海側の砂浜を隔てている。
フェンスは砂が草地に寄せるのを防いでいるのか、草地が波で削られるのを防いでいるのか、わからない。
九十九里浜全体の傾向としては、利根川の河川改修が進んだ結果、海に流れてから海岸に供給されるべき土砂が減って、海岸侵食が深刻という状況らしい。
空は曇っていて、風もかなり強く、波が音高く寄せていて、不穏なような感じがする。 12月の海辺だが、ひどく寒くはない。

栗山川河口
右岸の先に低い堤防が突きだしていて、釣り人がひとり。
かなり険悪な天気だし、堤防は波をかぶって濡れていて、たよりなげどころか、かなり危険に見える。

栗山川は、太平洋側でサケが回帰する南限の川で、黒潮の影響を受ける南端になる。
またその水系では縄文時代の丸木舟が数多く出土している。
7世紀頃、上流に朝鮮半島から渡来した人たちが多く住んでいた地域があり、そこを流れる川であることから「句麗山川=栗山川」と呼ばれるようになったいう説がある。

マリンピアくりやまがわ
河口に行くのに「マリンピアくりやまがわ」の駐車場に車をおいた。
その名から、なにやかや施設とかレストランとかがあって、整備された遊歩道を散策する-なんてところをイメージしていた。
ところが、起伏する草地のやや高いところが簡素な展望所になっているくらい。
ほとんど自然のままなのは悪くないが、この名前は誇大広告じみている。

栗山川河口
海岸の砂丘と内陸部にはさまれて帯状に、低木が密集している妙な一帯があった。

横芝光町 よこぴー
ジミな写真ばかりになったので、明るいのをおまけに2枚。
横芝光町を歩いていてみかけた町のマスコットキャラクターの「よこぴー」。
海からきた妖精で、体じゅうが町の名物からできている。
帽子に「梅」と「ひかりねぎ」、体は「トマト」、チョッキは「九十九里浜」。
カラフルでかわいい。

コミュニティCAFE&農家のキッチン FARM TO
もう1枚はおいしかったもの。
栗山川を7キロほどさかのぼり、総武本線を北に越えたところにあるレストランでランチを食べた。
店は「コミュニティCAFE&農家のキッチン FARM TO」。
https://agrithree-store.com/
梨農家が営むレストランで、梨カレーを食べた。
ごくうっすらと縁がある店主は、もとパティシエで、デザートまで見映えも味さすがだった。

(2022.12)