安治川(旧淀川)-もと世界最大の観覧車から

安治川河口の観覧車
安治川(あじがわ)の河口では、左岸に海遊館、右岸にユニバーサル・スタジオ・ジャパンなどあって、にぎやか。これほど名所が集中している河口は珍しい。
全景を見るにはまず天保山(てんぽうざん)大観覧車に乗ってみたい。
大阪港駅から水辺に向かって歩いていくと、観覧車が見るからに大きく、高い。
1997年開業、直径100mで、完成から数年は世界最大の観覧車だった。


透明なゴンドラがあって床壁天井みんな透けている。ほとんど空中遊泳感覚でとても迫力がもありそうなのだけど、高所恐怖症の妻が一緒で、観覧車につきあうだけで精一杯。非透明のに乗った。
周囲に大阪市街が広がり、眼下すぐには安治川の河口があり、これから乗るつもりの渡し船の乗り場もかわいらしく見えている。
生駒山(向こう側には奈良がある)や、関西国際空港も見えるらしいのだが、今日は空気がかすんで遠くはだめ。 ゴンドラはゆっくり回って1周15分。
かなりの高度感で、妻はうす目をあけてたまに景色をちょい見するのがやっとだった。

もともとの淀川は琵琶湖が水源で、途中から桂川と木津川が合流し、京都、大阪を流れて大阪湾にそそぐ。1907年に新たな水路が開削され、新しい流れが淀川を名のり、もとの淀川は大川・堂島川と名前を変えて、中之島から先が安治川となった。あとからできたほうが本家を名乗るのは、東京の荒川と隅田川の関係と同じになる。
淀川は大阪湾と大阪市中を結ぶ幹線だったから、大きな船が通れるように河口の浚渫工事が行われ、そのときでた土砂によってできた築山は20mほどの高さがあり、安治川入港の目印とされ、当時の元号から天保山と称されるようになった。
明治にはいり、砲台を天保山に建設することとなり、土が削られて高さ7mほどになり、高度経済成長後、地下水のくみ上げによる地盤沈下でさらに低くなった。

安治川の河口 天保山
今は国土地理院の地図では4.53mの山として記録され、仙台市にある標高3mの日和山につぐ全国2番目の低山になっている。
とはいえ、ふつうに山としてイメージされる∧の形をした山体はなくて、平らな地面に天保山頂の標示があるだけ。 これまでの歴史を勘案して山として認められているということだろう。


すぐ先に対岸へ渡る船の乗り場がある。
小さな小屋が待合所になっていて、壁の時刻表を見ると、1時間に2本ずつで、朝夕だけ5本ある。こちら側からは00分と30分に出て、所要数分。対岸に着くと、そちらで待つ客を乗せてすぐ折り返してくる。
船出を待っているのは、徒歩の客は僕らと南アジアらしい若い男性2人。
あとは自転車で来ている人たちで、欧米系らしい男女ペアと、日本人数人。 船が出る時間になって乗ると、船内には座席はなく、立ったまま。
船はとても小ぶりだが、ちょっとした速度感があって、白い波をまきあげて進んでいく。
河口をまたいでいる阪神高速の高架橋をくぐる。
さっき高みに上がってきた大観覧車も見えている。
晴れた日に水を渡るのは気分がいい。

安治川の河口 渡船場安治川の河口 渡船場(拡大)

先の写真は大観覧車から見おろした安治川河口付近。(写真上が上流=大阪市街地)
次のは渡船場を拡大。船が出ていくところで、僕らはこの次、30分後に出た船に乗った。
対岸で降り、ユニバーサルスタジオジャパンの裏の塀沿いに歩くと、ゆめ咲線(JR桜島線)の桜島駅に着く。

(2018.11)