早川-瀬音も潮騒も

小田原から2つの河口見物で、酒匂川(さかわがわ)に行ったあと、鴨宮駅からJR東海道線の下り電車に乗る。
もう昼をだいぶ過ぎているのだが、近くに座った夫婦がアジフライを食べる相談をしているのが聞こえてくる。目当ての店があるらしく、そこが行列だったらどうしようとか。
小田原から次の駅が早川駅で、アジフライ夫婦も僕ら夫婦もそこで降りた。

小田原おさかな通り
小田原漁港にそって歩いていくと、小田原おさかな通りがある。 海鮮料理の店がいくつも並んでいて、アジフライの看板やのぼりがいくつもある。さっきの夫婦は並ばずに食べられたかどうか。
僕ら夫婦は、鴨宮で昼をすませてきたが、そそられる風情の店が次々にあらわれる。車だから酒も飲めないし、次の機会は電車で昼前に着きたいと思う。

早川河口
おさかな通りを抜けると早川橋があって、下を早川が流れている。 川幅は広いが、水の流れはその何分の一しかない。
川底に小岩があって、早い流れが白く砕け、音を立てている。 河口近くでは水はゆったりしていることがふつうだが、こんな瀬音がきこえる景色があることに驚かされた。

流れていく先を見ると、砂州がふさいでいる。 砂州は左岸からのびていて、水は右に曲がっていって海に注いでいるようだ。
高架の道は西湘バイパス。

早川河口
橋を越えて、左岸から砂州に降りる。
水は右から左へ。
右の上流側では、川は音を立てて急いでいたが、海にそそぐ直前の細い通り道ではとろっと穏やかな水面をみせている。

早川河口
そのすぐ先で海に注ぐ。
波が繰り返しよせているところに、川がするすると流れこんでいる。
向こうの岸壁には、小田原提灯にちなんでちょうちんの形をした赤と白の灯台が立っている。
2月にしては暖かい日で、青い海、やわらかい日差しが心地よい。
そんな眺めにひたっているうちに、潮が満ちてくる時間で、しだいに波が足元近くまで寄せてくる。
さっきは瀬音がしていたのに、こちらでは潮騒。
よい河口だ!


早川は箱根の芦ノ湖から流れてくる。 箱根に遊びにいくと、たいてい小田急線の箱根湯本駅に降りて動きはじめる。 そのすぐ脇を川が流れているのを何度も目にしていたが、あれが早川だったことに今さら気がつき、その河口はこんなところだったのかという、ちょっとした感慨もあった。

(2020.2)