真締川-今はないホテルと注目のレストラン

シーサイドホテル宇部(宇部海員会館)
シーサイドホテル宇部(宇部海員会館)というホテルが、真締川(まじめがわ)の河口近く、宇部港の1つの岸壁そばにあった。
存在していたときの住所では、山口県宇部市港町1-12-12。
船を模した外観で、部屋の窓も船室のように丸い。

真締川
それで部屋からは、こんな眺めになる。
すぐ右が真締川の河口で、宇部港に流れこんでいる。
(空に白い点があるように見えるのは、夕日とかではなくて、窓のガラスに室内の照明が反射している。)

宇部海員会館のロビー
海員会館というのは全国に数館あり、船乗り用のホテルだが、一般でも利用できる。
ここでは部屋にお湯も冷蔵庫もないかわりに、ロビーのフロントわきに冷蔵庫があり、「名前を書いていれてください」と張り紙がある。 冷蔵庫の上には電子レンジ。
簡素で合理的。
フロントをまかされているのは定年退職後らしいご夫婦。「海員会館は初めて?」ときかれて、「広島に泊まったことがある」といったら、「あそこは数年前に閉めた」とのこと。港に近いので翌朝早くの船に乗るのに便利だった。惜しい。
暖房が弱くて、ちょっと寒くて、毛布にしっかりくるまって眠った。
(僕が泊まった数年後、広島のあとをおうように宇部もなくなった。広島の閉館が2009年、宇部は2013年だった。)

宇部港付近
すぐ近くでは古びた家がバーになっていて、そこだけわびしくネオンがともっていた。 港町にはこういうところもあるし、旅にはこういう風情もいい。(写真は翌朝撮ったもの)
宇部港のあたりは、かつてはUの字を逆立ちさせたような弧をえがくおだやかな海岸線だった。 西に本山岬、東に宇部岬がつきだして、弧の中央あたりで厚東川、そのやや右(東)で真締川が流れこんでいた。
産業と流通の発展で埋立と造成がさかんにおこなわれて、いかにも人工的な水際に変わった。

レストランノエル
翌日のランチは、河口から1.5kmほど上流、宇部大橋の近くのレストランノエル[ restaurant-noel.com ]で。
ここは建築家・石上純也が構想したテーブルで注目をあびた。
かなり大きなのを薄い鉄板でつくった。鉄とはいえ、大きくて薄いとたわんでしまうのをくふうした。
テーブルが気になって行ったのだが、料理も絶品。
レストランは今はビル内に入っているが、石上純也設計による新店を建築中。
今度はテーブルだけでなく、独立店舗が建つので、注目され、期待されている。

吉野辰海『大首Ⅲ』
真締川は宇部市内で完結する短い川。
市街地を流れるあたりでは、両岸が遊歩道になっている。
宇部は彫刻のまちづくりで知られるが、この遊歩道にもいくつか彫刻が置かれている。
レストランノエルの近くには、犬の彫刻で知られる吉野辰海の『大首Ⅲ』がある。

*ほんの3キロほど西に厚東川がある。


(2011.2 2019.9記)